第030話 清らかな金と汚い金
「水色の封筒はねぇ、店の給料だよ。
ちゃんと貯金してるんだ。」
「・・・嘘でしょ!美咲、貯金なんてしてるんだ?」
「まぁ~ね。」
「すごぉーぃ。ビックリなんだけど!」
貯金してるなんてなかなか堅実じゃん。
という目で美咲を見詰める。
でも本当はそんな事はどうでも良かった。
今聞いたばかりの美咲の言葉が
ズッシリと重く心にのしかかってくる。
それを態度に出すまいと
必死でメロンの種を掻きだしながら
平静を装う。
あまりにも平然と意味深な事を言われ
私は心の対応が追いついていない。
美咲はというと
自分が言った言葉はまるで
ただの感嘆詞だったかのように
普段通り会話を続けている。
『清らかな金と汚い金!?』
私達は今まで「援助交際」については一切語ろうとはしなかった。
二人の金使いから
お互い同じような事をしているのは明白だったが
それをあえて口には出さなかった。
だからこの一言は
不意打ちだった。
よく解らない。
いや
美咲のその言葉を
私はちゃんと理解している。
それがどういう意味なのか
誰よりもリアルに感じている。
ただ
そんな風に美咲が考えていた事が驚きなのだ。
お店のお給料をきちんと別に分けて貯金している事も
意外過ぎて信じられないでいた。
『お金なんてどれも同じ紙切れだよ!』
汗水垂らして手にした金だって
おやじと寝てもらった金だってさ。
同じただの紙切れじゃない!
どれが清らかで
どれが汚いなんて・・・。
そんなのって・・・。
誰が決めるっていうの?
私はあきらかに混乱していた。
続き気になる人はクリックしてね♪