第029話 メロン
メロンを抱えて美咲の部屋に遊びにいく。
午後3時。
そろそろ起きているはずだ。
美咲はいなかった。
『買い物でも行ってるのかなぁ。』
残念・・・
しょうがないか。
自分の部屋に戻ろうとした時
調度階段を上がって美咲が帰ってきた。
お!グッドタイミング。
美咲は心なしか疲れた表情を浮かべ
目が虚ろで眉間に力が入っている。
私がいる事にも気がつかない。
「美咲?」
美咲は我に返って
いつもどうりのあどけない笑顔で答えた。
「まりも~。ごめん、ちょっと出かけてたよ。」
小走りで私に駆け寄ってきて軽く体当たりしてきた。
こういう時の美咲はとても可愛い。
私は抱えていたメロンを美咲の方に差し出す。
「客からもらったメロンなんだけどぉ~。
うち包丁ないし。美咲のとこあったよね?」
「おおお!メロンだ!すっげ~。」
「うんうん。め・ろ・ん。で、包丁ある?」
「桃食う時に買ったのがあるよ。
100円ショップのだけどね。きゃはは」
「上等よぉ。一緒に食べようぜ~。」
「やったぁ~!」
美咲はメロンが大好物らしく大喜びだ。
小さな台所で私はメロンを切る。
私達は料理などした事がないので
調味料も炊事用品も台所には一切ない。
100円ショップの包丁があるだけ美咲のとこがましか。
私がメロンを切っていると
美咲はバックの中からお財布を出していた。
キティちゃんの少し大きめの封筒に
財布から出した1万円札をしまっている。
その下に水色の同じくらいの大きさの封筒があった。
「お!美咲なにそれ?ヘソクリ?きゃはは」
「ううん。清らかな金と汚い金を分けてるの~。」
「え?」
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