第027話 覚めてみる夢
私は覚めて夢を見ているようだった。
おやじとの行為の最中
まったく現実感がなかったのだ。
もう一人の自分がSEXしているのを
ただ眺めているかのように感じていた。
そのリアリティのなさは私を不安にさせる。
自分の上の物体がゆさゆさと動いている。
気持ち悪い。
早く終わって欲しくて
私はしらじらしい声をあげる。
自分の声が遠くから聞こえてくる。
私は感覚も感情も思考も失った
まるで人形のような自分が
存在している仮想現実を見ているようだった。
シャワーの音を聞きながらハッと我に返る。
手にはピン札で5万円が握り締められている。
それを見て
全ては終わったのだと急に実感が沸いた。
『なんだ!楽勝じゃん!』
財布に5万円をしまおうとしていると
おやじがシャワーから出てきた。
裸のままの私は
おやじの方に視線を向ける。
おやじの体を意識的に見たのはその時がはじめてだった。
腹が出ていて毛むくじゃらで
しかもシャワー上がりで赤みをおびている。
とてつもなく醜悪で不恰好なものがそこにはあった。
うそだろ。
『これとやったのか!私・・・終わってるな・・・』
楽勝だと思ったのは本当に束の間で
すぐに絶望感に打ちひしがれた。
急速に肉体が意識を取り戻し始める。
頭の中が真っ白になる。
本物の眩暈に襲われた。
体のバランス感覚が失われていく。
ああ。
早く帰りたい。
「まりもちゃん、来週も逢える?」
「はい。」
「じゃ、何曜日がいい?」
「はい。」
「ん?火曜日の3時くらいは大丈夫かな?」
「・・・ピアス。」
「うん?」
「私・・・ピアスを買う予定があるので失礼します。」
続き気になる人はクリックしてね♪