西国三十三ヶ所めぐり 青岸渡寺 | まっちゃんの人生おもしろおかしく生きていきたい

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今回、紹介する西国三十三ヶ所観音霊場は、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町にある第1番札所「青岸渡寺(せいがんとじ)」です。


台風12号の被害で「青岸渡寺」への交通手段が限定され、第33番札所「華厳寺」にて満願達成したかったのですが、しばらく交通手段が国道42号線の白浜、串本の海沿いルートを長時間をかけて行くしか無理だったんで、短時間で行ける国道311号線~国道168号線の山沿いルートが回復するまで様子見ということで、「青岸渡寺」を最後の巡礼としました。


つい最近まで通行止めでしたが、降雨量限定の通行止めになっていたんで最後の巡礼をしてきました。


国道42号線の海沿いルートで約5時間かかり、国道311号線~国道168号線の山沿いルートは約4時間と短縮出来ます。距離的には往復約500kmと「華厳寺」と同じぐらいの距離なのですが、高速道路が阪和道の南紀田辺までで、そこから一般道で紀伊半島の山沿いを横断するんで非常に時間がかかります。高速で1時間30分、一般道で2時間30分って感じですかね。


しかもまだ道がきちんと整理されている訳ではなく、土石流や道路の崩落で1車線規制されている場所も数ヶ所あり、交互信号となって普通のペースでは行けなくなっています。


行きは早朝の真っ暗な間に車を走らせて、周りの風景は全く分からなかったのですが、帰りの昼間の明るい時間帯に車を走らせている時に、周りの風景を見て唖然としました。


国道168号線は横に熊野川が流れていて、台風12号の長雨の影響で大洪水が起こり、川辺周辺の家は破壊、浸水の被害に遭い、周辺の一部の山は地盤が緩み山肌が削られて、熊野川に土石流が流れている場所が多くありました。


こういう被害を目の当たりに見たのは初めてで、台風12号がいかに凄まじい台風だったか思い知らされました。


被害状況が多いだけに、なかなか復旧作業は進んでいない感じでした。


それは「青岸渡寺」がある那智勝浦町でも同じ状況でした。


「青岸渡寺」に向かう県道46号線の横には那智川が流れていて、県道46号線も多大な被害を受けていました。



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青岸渡寺に向かう県道46号線。那智川が氾濫し道が陥落している。建物は公衆トイレです。



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土石流で埋まっている那智川・・・。



この写真はほんの一部です。もっと酷い状況の場所もありました。こういう被害に遭いながらも、何とか那智の観光名所に多くの人が訪れてもらおうと、優先して道路をいち早く開通したようです。


なかなか状況は厳しいですが、いち早く以前の姿に取り戻して欲しいと願うばかりです。


少しでも多くの人が観光に訪れてもらうように、今回は「青岸渡寺」と隣接する「熊野那智大社」も後日、少し紹介したいと思います。


西国三十三ヶ所観音霊場、第1番札所「那智山(なちさん) 青岸渡寺」。創建は「仁徳天皇御代(313~399年)。開基は「裸形(らぎょう)上人」。宗派は「天台宗」。本尊は「如意輪観世音菩薩像」。


詠歌 「補陀洛(ふだらく)や 岸うつ波は 三熊野(みくまの)の 那智のお山に ひびく滝津瀬」


「青岸渡寺」の創建年数の詳細は分かっていませんが、「青岸渡寺」の縁起によると「仁徳天皇」の御代(313~399年)に、 インドの天竺の僧「裸形上人」が熊野灘に漂着し、修行の場を求めて川を進み「那智大滝」に辿り着いたことから始まります。


「裸形上人」が「那智大滝」にて修行中、滝壷から8寸(約24cm)の「観音菩薩像」を感得し、草庵を結んで安置したのが始まりと伝えられています。


その後、「推古天皇」の御代(592~628年)に「推古天皇」の勅願で大和国の「生仏(しょうぶつ)上人」が、この地を訪れて椿の大木で1丈(約3m)の「如意輪観音像」を刻み、「裸形上人」が感得した「観音菩薩像」を「如意輪観音像」の胸に納めて祀り、伽藍を建立し「如意輪堂(現在の本堂)」に安置したと伝えられています。


今現在、「青岸渡寺」と「熊野那智大社」は明治時代の神仏分離令で分かれてしまいましたが、昔は神と仏は渾然一体で区別できるものではなく、「那智権現」として一緒になっていたようです。


「那智権現」は「那智の滝」を中心とする自然信仰の場として、「青岸渡寺」は「熊野那智大社」と共に神仏習合の修験道場であったようで、「青岸渡寺」は当初「如意輪堂」と呼ばれていたようです。


平安時代になると貴族や皇族、鎌倉時代には武士階級、江戸時代には一般庶民にまで熊野信仰が広まり、西国三十三ヶ所観音霊場第1番札所ということもあり、数多くの参拝者が蟻のように行列を作り参拝したので、「蟻の熊野詣」と呼ばれていたようです。


「青岸渡寺」は最盛期には7寺36坊もあったようですが、「織田信長」の焼き討ちにより全焼します。


1590年、「豊臣秀吉」により復興しますが、明治時代に入ると神仏分離令により廃仏毀釈が行われ、多くの寺院、仏像などを取り壊しますが、「如意輪堂(本堂)」は西国三十三ヶ所観音霊場、第1番札所なので取り壊さずに仏像などを「補陀洛山寺」に保管して、しばらくは空堂の状態であったようです。


1874年に人々の強い願いにより「青岸渡寺」と名付けて独立し、「天台宗」の1寺院として復興し現在の寺観となっているようです。


「青岸渡寺」は2004年7月7日に、ユネスコから「紀伊山地の霊場と参詣道」の1つとして世界遺産に登録されました。


西国三十三ヶ所観音霊場の出発の第1番札所であるのは、出家した「花山法皇」が「那智の滝」の上流にある「二の滝」付近に「円成寺」という庵を結び、千日間厳しい修行を積んで、西国三十三ヶ所巡礼の旅に出発したからだと言われています。


「青岸渡寺」へは車で「本堂」側まで行くことが出来ます。


電車ではバスに乗り換えて、表参道前まで行くことが出来ます。


熊野古道を少し味わいたいと思うなら、「大門坂」という杉並木に囲まれた石段を約30分かけて登って行くことが出来ます。大門坂より手前にお土産屋らしき店の大きな駐車場があったんで、そこに駐車出来ると思います。



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那智山までの道しるべ。八咫烏(やたがらす)が描かれている。ここは補陀洛山寺付近。



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県道46号線から左に細道が分かれ大門坂へ。駐車場はないようです。



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進むと鳥居があり、振ヶ瀬橋という橋がある。



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樹齢800年の夫婦杉を抜けて、熊野古道へ。



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杉並木の石段を約30分かけて登って行く。寄っただけで行ってません・・・。



「大門坂」を登りきるとバス停付近に出て、さらに「青岸渡寺」へは表参道の石段を登っていかなきゃいけません。


車では「本堂」側に来てしまうので、「山門」へ行くには石段を下らなければいけません。表参道は石段を上がりきると「山門」まで辿り着きます。



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山門前には西国観音霊場を知らせる石碑が。



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山門。昭和初期に再建。



「青岸渡寺」の「山門」は、かつて「大門坂」から約650m進んだ場所に、「大門」として建っていた門だそうです。


昔は「那智権現」へ参拝するには必ず「大門」から入山していたのですが、今は「青岸渡寺」の「山門」となって、「青岸渡寺」を目的で参拝するなら「大門」と呼ばれた「山門」から入山しますが、「熊野那智大社」を目的に参拝する人は、「山門」より左手にある「一の鳥居」から石段を上がるんで、必ずしも「大門」と呼ばれた「山門」から入山することはなくなったようです。これも神仏分離令による影響です。



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那智山と書かれた扁額。



「山門」には「湛慶」作と伝えられている、「仁王像」が安置されています。



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阿形。脇腹部分の天衣には家紋らしきものが。



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吽形。透明の板に囲まれて保護されているので撮り辛い。



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境内側からみた山門。



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裏側には狛犬が。



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阿吽ではなく両方、口を開いている。



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山門からの石段。本堂前に着きます。



石段を登りきると左手に手水の「清浄水」があり、右前方に「本堂」があります。



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清浄水。水源は那智大滝で延命の水のようです。



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本堂。1590年に豊臣秀吉により再建。重要文化財。



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本堂右手から撮影。



「青岸渡寺」は「本堂」のみが昔からの建築物で、他のものは新しい建築物です。


「本堂」には当初のものと言われ秘仏である六臂の「如意鎮観世音菩薩像」を祀り、2月、4月、8月の3度開扉されるようです。普段はお前立ちの「如意輪観世音菩薩像」を拝観出来ます。



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本堂手前。扁額は山号の那智山と刻まれている。



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本堂内。



「本堂」内に吊られている鳴らし物の「大鰐口(わにぐち)」は、1590年に「本堂」再建された際に「豊臣秀吉」から寄進された、日本最大の大きい鰐口だそうです。



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大鰐口。直径1.4m、重さ450kg。



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本堂内にはびんずる尊者が。



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役小角像も安置されていました。



その他の堂宇や史跡を紹介します。


「本堂」正面横には「聖観世音菩薩銅像」があります。



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聖観世音菩薩銅像。



「本堂」の後方には「鐘楼」、「水子堂」、「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」があります。



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鐘楼。



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梵鐘。鎌倉時代のもの。



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水子堂。



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手水があり、地蔵菩薩が水子を迎える石像が。



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聖観世音菩薩像が祀られています。



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宝篋印塔。1322年造立。重要文化財。



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水子堂前にある樹齢約700年のタブノキ。和歌山県指定天然記念物。



「鐘楼」の上方には「如法堂(大黒堂)」があります。



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如法堂(大黒堂)。



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大黒天を祀る。



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別アングルから。



「如法堂」の右下には熊野古道へ続く石段があります。



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熊野古道へ続く石段。



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山奥へ続く熊野古道。どこへ行くんでしょうかね・・・。



「青岸渡寺」の絶景と言われる景色は、「三重塔」と後方に見える「那智大滝」です。



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三重塔と那智大滝。曇っていたんでちょっと残念。



「三重塔」は1972年、400年ぶりに再建された新しいものです。拝観料200円を払って中に入れて登ることが出来ます。新しいだけにエレベーターもあったりします。



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内装は鉄筋コンクリート製ですが見事な三重塔。高さ25m。



「三重塔」にはそれぞれの層に仏像が祀られていて、各部屋は格天井と板壁画となっています。


1層には「那智大滝」にある「飛瀧(ひろう)神社」の、「不動堂」に祀られていた「不動明王像」を安置しています。



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塔内の板壁画の一部。



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格天井。



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不動明王像。



2層には尼子十勇士の1人、「山中鹿ノ助幸盛家」の「持仏堂」の本尊であった「阿弥陀如来像」を安置しています。



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阿弥陀如来像。



3層には「那智の滝」の「飛滝権現」の本地仏(神の本来の姿)である、「千手観世音菩薩像」が安置されています。



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千手観世音菩薩像。



「三重塔」の2層からが、「那智大滝」の眺めが一番良い場所のようです。



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三筋の滝とも言われる那智大滝。上には注連縄が掛かっている。



「山門」の右手には「信徒会館」があります。



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入り口は下にある山門側からですが、上の本堂側からも入れるようです。



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信徒会館側には青岸渡寺の詠歌の石碑が。





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詠歌の石碑からは台風12号の影響で、山肌が崩れている被害が目の当たりに・・・。



「山門」より下方には「平和観音堂」があります。



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平和観音堂。



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聖観世音菩薩像を祀る。



「信徒会館」の右手には「尊勝院」があります。



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宿坊の尊勝院。



駐車場付近には「阿弥陀堂」、「尊勝院別館(信者宿坊)」があります。



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納骨堂の阿弥陀堂。阿弥陀如来像を祀る。



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段差に建てられているので、2階部分が入口のようです。



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尊勝院別館も下が入口ですが、上にある駐車場からでも入れるようです。



「阿弥陀堂」の下方には茶室「瀧寿庵」があります。



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茶室の瀧寿庵。



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瀧寿庵の側には観音像が。



「三重塔」より右手には「瀧宝殿」、「写経蔵」があります。



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青岸渡寺の寺宝を保管する瀧宝殿。



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写経蔵。



「青岸渡寺」にて西国三十三ヶ所観音霊場を1年かけて満願した訳ですが、達成感の喜びもありますが、終わってしまったという寂しい気持ちもあります。


弾丸ツアー的な巡礼で、全てのお寺をじっくり拝観出来た訳ではありません。


「青岸渡寺」で滞っていたので、もうブログで紹介していますが、過去に参拝したお寺も2巡目で、じっくり拝観するために訪れたりしています。


今まで自分は笈摺のみ御朱印を頂いていましたが、「華厳寺」で2巡目の為に納経帳を購入し御朱印をもらっています。


1巡目でじっくり拝観出来なかったお寺を、2巡目でゆっくりと時間をかけて訪れたいと思っています。


「青岸渡寺」の巡礼は日帰りで長時間、時間を費やしての車の移動で体に負担がかかるんで、母親は過去に巡礼していることもあり自分1人で行ってきましたが、母親の分も御朱印を頂いてきたんで、母親の笈摺も満願出来たんで目標達成です。


自分の笈摺には「高野山 奥之院」と、お礼参りの長野県「善光寺」の御朱印を押す場所があり、「善光寺」は西国三十三ヶ所を含め、坂東三十三ヶ所、秩父三十四ヶ所を合わせた「日本百観音」を巡礼してのお礼参りで、これは特に頂かなくても問題ないみたいです。


「高野山 奥之院」も特に頂かなくても問題ないみたいですが、比較的近いので参拝したいと思ってます。


とりあえず昔の人のように歩いてではなく、車での移動がほとんどでしたが、とりあえず満願達成!!よくやった!!



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青岸渡寺の御朱印