阪本順治監督『闇の子供たち』タイ上映禁止をめぐって | マンガ論争勃発のサイト

阪本順治監督『闇の子供たち』タイ上映禁止をめぐって

 永山さんと行ってきた。
 会場に到着したのは、開始10分ほど前だが立ち見がでるほど場内は満員である。
 客層は、CSECに興味がありそうな人と、映画好きと、オールド左翼といったあたりで、
いわゆる規制反対派らしき人の姿は見えず。
 (のちほど渋井哲也さんと『創』の篠田編集長の姿を見つけ、ご挨拶)
 
 さて、前半は企画者の塩見孝也さんの司会でイベントが進行。
 
 出演者は、
 
  阪本順治(監督)
  梁石日(原作)
  唐崎正臣(タイ撮影プロデューサー)
  鈴木邦男
  塩見孝也
  深笛義也
  (敬称略)
  
 最初の30分ほど、予告編とダイジェスト版を上映した後に、トークがスタートしたのだが、
鈴木さんが
 「塩見さんは、唐崎さんとはどういうお知り合い?」
 と、聞いて
 「ああ、赤軍派結成の時に一緒に…」
 いきなり、話が本筋からずれていく。
 
 で、結局、タイでの上映禁止問題や表現の自由の問題については、深く掘り下げられることも
なく撮影にあたっての苦労などの話が続き、なんだかフツーの映画イベントのような感じに。
 遅れてやってきた梁さんは、話上手だったのだが、話題の中心は作家になるまでの生き様について
であった。有り体にいえば、グダグダである。
 
 3時前に一度休憩の後に、1時間半ほど質疑応答となったのだが、むしろこっちのほうが興味深い
ものだった。
 メモを取っていないの、うろ覚えだが、
 
 Q:なんでタイで撮影したんですか?
 A:原作がタイだからだよ。(超要約)
 
 Q:私の見たタイの現実はもっと酷い。映画では描き切れてない。
 A:監督側から、どういったテーマで撮影したか理路整然と説明。
 
 と、カオスな感じで続いた質疑応答。
 なにより、誰もがやたらと自分語りをしてから質問を始めるのが、社会総体の問題に対して
「私は…」という形で自分語りをしてしまうのは、なぜなのだろう。
 
 もっとも自分語りの問題は、オタク界隈の言説でもよく眼にする行為なのであるが。
 
 ちなみに、もっとも会場内をカオスにしたのは、
 「映画を見てから10日くらい落ち込んだ。その時に、ある本に出会って人間は宇宙とも一つになれると知ったんです…」
と、スピリチュアルな本の紹介をはじめた、若い女性である。

 さて、私もせっかくだから質問しておこうということで、
 このイベントは、表現の自由の問題を標榜しながらも、映画自体が表現の自由を奪おうとする人々に利用されている点を
問題化していない。これは、企画者のミスではないか? と面倒くさいことを聞いてみた。

 これに対して塩見さんは、
 「まだ、どのような問題があるか一般化できていないんだから、一つずつやって行かなきゃいけないだろう。今後も、表現の自由の問題はやる」
 とのこと。
 
 なるほど、塩見さんはmixiで「[二次元]ロリ顔巨乳が好き!」というコミュに入っているが、それなりに理由があるようだ。
 
 それにしても、このイベントの告知は各所でなされていたと思ったのだが、オタクの側で児ポ法関連の運動に参加しているような人々の姿が
皆無だったのは、ちょっと残念である。
 様々な角度からの意見を知るためにも、こうしたイベントには参加する価値あると思うけど、どうよ?
 
 なお、帰りに駅前の喫茶店『アコヒーダ』に行こうと思ったら跡形も無くなっていて、永山さんと共にがっくり肩を落としたことも報告しておく。
 
 (昼間たかし)