(財)日本ユニセフ協会インタビュー【第4回】「状況が悪化しているとはいっていない」 | マンガ論争勃発のサイト

(財)日本ユニセフ協会インタビュー【第4回】「状況が悪化しているとはいっていない」

--もしコンテンツ大国としての責任を果たすべきとお考えならば、更に説得性、説明性の必要があると思います。現状では問題となっているのがどの作品かもわからない。

 日本が発信基地だというデータでも、エクパット・スウェーデンの2005年の5ヶ月の調査では2位。ところが、イギリスの調査機関による長期のデータでは日本は5%アメリカ51%となっている。
 国際エクパットも、日本は児童ポルノ法制定以後の政策により抑制されていると評価していると聞いています。つまり、データは様々でそこには数値のばらつきがありますが?

中井さん:そのものは知らないと思うのですが、少なくとも1999年の法律導入以降、全般に渡って進展があったことは評価されていると聞いています。
 横浜会議の開催も評価の一つだと思っています。現状、我々も状況がよくなっていないとか、悪化しているとはいっておりません。

--では、日本がポルノの発信基地だという言説はあり得ない?

中井さん:わかりません。色んなところが、色んな数値を出しているが全体的な数値というのは出せないようです。

--数値的な問題でいえば、どのデータでも児童ポルノの発信源はアメリカが過半数ですよね?

中井さん:司法省に尋ねたところ「明確な裏付けはないが、海外のサイトのサーバがアメリカ国内に置かれている事例もあるので、アメリカの数値が上がる」と話していました。

--気になるのは、「児童ポルノ」という場合に、要望書に出てくるいわゆる「準児童ポルノ」と「児童ポルノ」がごっちゃに論じられることが多いことです。これでは、実写なのか漫画なのか判断がつかない。

中井さん:要望書では、日本の法律で担保されていない児童ポルノがあると私たちはみており、現行法では見ていないものを「準児童ポルノ」としてみている。「準児童ポルノ」という定義を法律でつくろうとしているのではなく、そういったものが存在していることをみなさんに訴えたいと思っております。

--現行法では創作物は児童ポルノではないという前提があります。児童ポルノでないものに準児童ポルノなる「児童ポルノ」を含んだ造語で表現することは、誤解を招くのではないでしょうか?

中井さん:私たちも要望書の中で書きましたが、(誤解を招くのは)司法の側の理解のなさではないでしょうか。子供の福祉、権利の法律であることはあまり定着していない。警察でもワイセツ物と混同していると思います。

【続く】

(取材:永山薫 昼間たかし 構成:昼間たかし 2008年3月19日取材)