松浦大悟参議院議員インタビュー 【第1回】今の国会にあるヤバさの正体 | マンガ論争勃発のサイト

松浦大悟参議院議員インタビュー 【第1回】今の国会にあるヤバさの正体

 コンテンツ規制の目的は洞爺湖サミット


--昨今、インターネットにおけるィルタリング等の規制、ダウンロードの違法化。さらに、児童ポルノ法の改定と、コンテンツ表現の規制に関連する法案が、矢継ぎ早に登場しています。この背景にはどのような事情があるのでしょうか。


松浦さん:ま ず、シーファー駐日大使の発言にあるような外圧が挙げられます。さらに、政府には、7月の洞爺湖サミットまでにこれらの法案を成立させ、日本の成果をア ピールしたいという思惑があるのではないでしょうか。あるいは、その後行われるであろう解散総選挙を考え国民にアピールしたい人々もいるかもしれません。


--こうした動向には既視感を持っているとのことですが。


松浦さん:そ うです。今から、約10年前のことですけど出会い系サイト規制や、児童ポルノ法案などが議論されていた際に宮台真司さんが国会に参考人として招致され「規 制してもアンダーグラウンドへ移行するだけで、ほとんど実効性がないだろう」「隠語化等の操作によって、いくらでも法の網をくぐり抜けてしまう」「対象者 のいない二次元については規制すべきでない」など、非常にわかりやすいお話をされました。


 ところが、それから10年近くを経て、国会議員は大幅に入れ替わり、当時の状況を知る人はほとんどいません。今の国会は、再び同じ議論が繰り返されているように思えますね。




善意の結果として安易な規制がまかり通ろ

うとする現状を危惧する、松浦さん



素朴な善意が規制を進めてゆく


--それでは、するともう一度、一から議論をやり直さなくてはならないということでしょうか?


松浦さん:そうです。残念ながら、そうした話ができる学者や論客が少ない上に声も上がってこない。

 逆に、学会での評価が微妙な方ほど声が大きかったりします。


 先日、会議で学校裏サイトの講師として招かれた大学教授は、学校コミュニティサイトの中で女子校生がヌード写真をアップしているものをみせ議員たちを驚かせ「これが、学校裏サイトであり、これをこのままにしておいてよいのか?18歳未満には規制してしかるべきだし、国際的には規制していないのは日本だけだ」とお話されました。


 そこで、確かにイジメの温床と なる事例もあるが、学校裏サイトという呼び名にはマスコミのミスリード的なところがあって、ニュートラルな視点で言えば学校別のコミュニティサイトのこと であり、そこでは、多様なコミュニケーションが行われているのではないかと尋ねました。そうすると「あなたは現状を知らない、ほとんど全てこのようなもの ばかりだ。私は90年代からデーターを集めています。こういうものは規制すべき」と返されました。


「おかしいな」と思い、学会でどのように評価されているか調べてみたら、かなり疑問符をつけられている方のようでした。それでも大きな声を上げ続けているので、国会議員の会議にも呼ばれ、その内容が政策立案の参考にされてしまっているのです。


 こんな状況で「子供を有害情報から守ることのどこが行けないのか」という、素朴な善意で安易に規制が推進されようとしているのです。それは、確かに良心からだと思いますし、否定するつもりはありません。だからこそ、今は非常に危険な状況にあるといえるでしょう。



【続く】


プロフィール:松浦 大悟(まつうらだいご)

参議院議員。 神戸学院大学卒業後、秋田放送(ABS)にアナウンサーとして入社。
テレビ・ラジオの報道・生活情報番組やニュース番組等で幅広く活動。
仕事を通じて、メディアリテラシー(情報を読み解く力)教育の必要性を実感。
東京や秋田での勉強会にも積極的に参加するとともに、講演の講師なども務めた。
「秋田・市民のメディア研究会」会員。
公式サイト:
http://www.dai5.jp/
 


(取材:永山薫/昼間たかし 構成:昼間たかし)