『新しい市場のつくりかた』 | 京都で働くコンサルタントのブログ

『新しい市場のつくりかた』

皆さん、こんにちは。
(株)マネジメント総研の小山です。

今回は、6/11実施のワールドカフェ読書会の課題図書、『新しい市場のつくりかた』三宅秀道著(東洋経済新報社)について、ご紹介いたします。

 

・フランスのタイヤメーカー「ミシュラン社」が、なぜレストランや
 ホテルのガイドブックを出しているのか?

・小林一三(阪急阪神東宝グループの創業者)は、単にレールを引き、
 列車を走らせ、人を運ぶだけのビジネスではなく、暮らしの全てを
 デザインした。

・「ウォシュレット」は、エジソンの時代から技術的条件は整っていたが、
 実現・普及されることはなかった。それは、技術の問題ではなかったから。

・「生命保険」という商品は、それを買おうとする人にとって、
 自分亡き後の家族の生活の安心も、その人の幸せのイメージに
 含まれているかどうか、にかかっている。


このような事例をほかにも多く取りあげて具体的に書かれており、非常に腹落ち感があります。


この本では、「市場のつくりかた」について「文化開発」に焦点が当てられており、「技術開発」との違いを以下のように整理されています。

・今、幸せだと思っている状態が、もっとコストパフォーマンス
 良く実現できるようになることが「技術開発」。
・今までは幸せと思っていなかった状態を幸せと思うようになり、
 それが実現できるようになることが「文化開発」。
・変化以降は、そうでないと不幸せだと感じるように感覚が変わる。



そして、「価値」について、以下のように説明されており、非常に納得感がありました。

・「技術」は確かに「機能」を支えるが、「機能=価値」ではない。
・商品の良さというのは文化的・社会的文脈における「価値」の問題
 であって、技術論で完結しうる「機能」の問題ではない。
・その物体が解決できる「問題」を、やはり自分も「問題」だと思う人
 にとってしか、その物体は「価値」がない。
・「価値」は「認識」しなければ生まれない。
・「認識」が変わったら、この物体に「価値」を感じるようになる。
 「価値」とは「存在」ではなく、「現象」である。




気づきの多い本なので、要約してたくさんお伝えしたいのですが、実際に読んでいただくことで得られる気づきを奪ってはいけないので、ここまでにとどめます。


章立ては以下のとおりで、それぞれわかりやすく面白く濃い内容となっております。

第1章 さよなら技術神話
第2章 新しい「文化」を開発する
第3章 「問題」そのものを開発する
第4章 独自技術なんていらない
第5章 組織という病
第6章 「現場の本社主義」宣言
第7章 価値のエコシステムをデザインせよ
第8章 ステータスと仲間をつくれ
第9章 ビジネスの外側に目を向けよ
第10章 地域コミュニティにおける商品開発
終章  希望はどちらにあるか




オススメの書籍です。
ぜひ、ご一読いただければと思います。