JIS Q 20000-1:2012(ISO/IEC20000-1:2011英和対訳版との相違点 | 京都で働くコンサルタントのブログ

JIS Q 20000-1:2012(ISO/IEC20000-1:2011英和対訳版との相違点

皆さん、こんにちは。
(株)マネジメント総研の小山です。

「JIS Q 20000-1:2007」は、ITサービスマネジメントシステムの規格であり、2005年に発行されたISOが、2007年にJIS化されたものです。

そして、ISOの方は昨年4月に第2版が発行され、そのJIS版が今年9月20日にようやく発行されました。

この規格は、ITSMS適合性評価制度において審査基準として用いられているもので、今後、新JISでの審査へと移行されます。

ISOの方は、昨年6月に英和対訳版が発行されていたことから、ITサービスマネジメントシステムに取組まれている組織や、この分野に関心の高い方は、英和対訳版を読み込まれていたことと思います。

今回はその英和対訳版と新JIS(JIS Q 20000-1:2012)の相違点について、ご紹介したいと思います。

原則として、ISOをJIS化する場合は、ISOとの一致が求められるため、翻訳に大きな差はありませんが、訳語や文章表現の相違や、JISのみに追加された注記などがいくつか見られます。


▼主な訳語の相違点
○other parties
ISO「第三者」>JIS「他の関係者」
・4.2のタイトル「Governance of processes operated by other parties」の訳にも影響しています。
・意味合いを考慮し、訳語が変更されたようです。

○documentation management
ISO「ドキュメンテーション・マネジメント」>JIS「文書の運用管理」
・4.2のタイトルの訳にも影響しています。
・ISO9001や27001との整合が重視されたようです。

○business relationship management
ISO「顧客関係管理」>JIS「事業関係管理」
・7.1のタイトルの訳にも影響しています。
・旧JISでも「顧客関係管理」でしたが、ITILでは「事業関係管理」と訳され、定着していると判断されたようです。

○top management
ISO「経営陣」>JIS「トップマネジメント」
・JIS Q 9000との整合が重視されたようです。

○catalogue of services
ISO「サービスの目録」>JIS「サービスカタログ」
・JIS Q 20000-2:2007では既に「サービスカタログ」と訳されており、一般に定着していると判断されたようです。


▼JISのみの注記の追加
0.2 サービスマネジメントシステム要求事項
「この規格におけるサービスとは、情報技術サービスを意味する。」
・規格の中では「サービス」「サービスマネジメントシステム」という言葉が登場しますが、この「サービス」とは「ITサービス」のことである、ということが明記されました。

3.11 情報セキュリティ
「対応国際規格の“accessibility”に対して“アクセス性”の訳語を当てたが、これはJIS Q 27001:2006の“information security”の定義に用いられている“availability”と同じ意味である。」
・27001(27002)では、「情報セキュリティ」は「情報の機密性、完全性及び可用性を維持すること」と定義されていますが、「可用性」について20000では別途定義しているため、「アクセス性」という言葉に置き換えられたため、このような注記が加えられました。


主なものについては以上です。
ご参考になれば幸いです。


なお、旧版と新版の相違点については、昨年5月投稿のブログ記事を参考にしていただけると幸いです(ただし、英和対訳版発行前に書いたものです)。

▼「ISO/IEC20000-1」の改正
http://ameblo.jp/management-souken/entry-11368291633.html