私の育った街には、「りんご並木」というのがあります。
市内の通りに りんごの木が植えられ、
春には白い花が、秋には赤い果実が 手をのばせば届くところに
見られるのです。
地元の中学生が 世話をしてくれているおかげです。
先日も、
私がその街出身であるという話になったとき、
『あー、そこ!
行ったことある、ある~
街の中にりんごの木があるんだよね~。
誰もそのりんごをとらないなんて すごいよね』
と言われました。
よくそういうふうに 言われるのですが、
そう言われて、いつもびっくりします
たぶん、その街に住んでいる人達なら、みんなそういう反応なんじゃないかな。
私たちにとって そのりんごは、りんごではあるけれども、
食べ物という感覚がないんですね。
変わらない街の景色の一部であり、
象徴であり、
それぞれの思い出を彩る何か。
とって食べたい、という気持ちにはならないと思います。
また、りんごの産地であることから、
その季節には りんごが豊富に街に出回るということも
影響してるのかな、と思います。
私の家も、秋になると、
いつもどこかの果樹園の方から頂いたりんごでいっぱいでした
食べ物なのに、食べ物じゃない。
いつでも手に入るから、奪わない。
そうやって考えると
人間の感覚って面白いですね
りんご並木の木々が、赤い実をつけるのはもうすぐでしょうか。
離れてみてわかる、素敵な街です