平成29年7月9日の朝日新聞朝刊の声欄に「母の財産 監督に14万円とは」という投稿が掲載されました。
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母親の保佐人となった娘さんが、監督人の司法書士から監督人報酬として14万円の請求を受けたことについての不満を投稿したものです。
私も、現在、保佐監督人2件、後見監督人3件を受任していますので、監督人の立場から、この投稿について検討したいと思います。
この投稿を詳しく見ていきましょう。
①投稿者は4年前から母親の保佐人として業務を行っていた。
②昨年5月、裁判所から「監督人」をつけるとの意向調査があり、「希望しない」と回答したが、司法書士の監督人をつけられた。
③その司法書士は電話で数回、面会で1度やりとりしただけだが、今年6月に14万円の報酬を請求してきた。
④14万円は母の年金の2か月分以上に相当する。
この投稿を読んだ第一印象としては、「説明不足」ということを感じました。
本人の流動資産が一定額以上になった場合は、横領対策として監督人を付けるという運用を裁判所がしているわけですが、本件のように途中から監督人を付ける場合は、保佐人にしっかり説明することが必要と思います。
特に本件では保佐人は「希望しない」と回答しているのですから。
(ちなみに、保佐の場合は、後見制度支援信託を利用できません。)
本来であれば、裁判所から口頭でしっかり保佐人に説明してほしいところですが、もしそれがなされていない場合は、監督人がなぜ監督人が選任されたかを保佐人に最初にしっかり説明する必要があると思います。
その際に、監督人の報酬額の概算を説明しておくことが大切です。
1年間で14万円の報酬というのは、監督人としては基本報酬で決して高い額ではありませんが、事前に説明をせずにいきなり請求したら、保佐人も驚きますよね。
それから、投稿者は、監督人が報酬額に見合った仕事をしていないことを指摘しています。
私は、本件について詳細を知っているわけではないので、投稿者の指摘が正しいかはわかりません。
ただ、監督人が保佐人(投稿者)にそう思わせてしまったことについては、監督人と保佐人とのコミュニケーションが不足していたのだろうと推測します。
監督人は、本人のために保佐人の業務をチェックするのが主な仕事ですが、保佐人の相談にのったり、保佐人と一緒に本人のことを考えるのも監督人の大切な仕事だと思います。
ちなみに、私が監督人に就任した場合、1年目は2か月に1回保佐人と面談し、通帳や領収書のチェックをしながら、いろいろな話をして信頼関係をつくるようにします。2年目以降は3か月に1回面談します。
やはり、人と人は会って話をするのが大切ですよね。
私は、本件について詳細を知っているわけではないので、投稿者の投稿内容が正しいかはわかりません。
ただ、監督人に就任した場合は、保佐人にこの投稿内容のように思われる可能性があることは肝に銘じて、きめ細やかな対応を心掛けなければと改めて思いました。
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