11月。
前職では、とても忙しい月でした。
毎日が飛ぶように過ぎて行く、そんな11月を過ごしていました。
紅葉を楽しむという余裕もなかったな。
去年は、まだ休職中でもあったので、この日々を、職場に想いを馳せながら過ごしていました。

今日、カレンダーを見て「もう11月なんだな」と思った時、
しばらくぶりに前職場を思い出しました。
そして、改めて、私は違う世界に生きているんだと感じたのです。

去年の1年間は、夫の病気のこと、母のこと、職場のことなど、大きな変化があり、
私は混乱していました。
でも、今は、今の毎日が私の居場所になっていて、過去は思い出になっているのを感じます。
一歩踏み出せば世界は変わると言う言葉に背中を押されて決断した一歩。
ぎこちなくても、一歩一歩を繋げていけば、道になるんだなと改めて思う事ができています。

去年の今頃は、夫が患者会を立ち上げて、「本当にできるのかな」と思っていた頃でした。

どうしても、自分が知りたかったスキルス胃がんの情報を蓄積し、形にしたいという思いも
果てしない夢のように聴こえていました。

今年1年は、夫の夢を叶えたいという思いで、いろいろなアタックをくり返してきました。
「この人に会いたい」という思いを持ち続け、たくさんの人と繋がりを持ってきた日々でした。
無我夢中で過ごしてきたことが形になり、とうとう、スキルス胃がんの冊子を作る最終段階を
向かえることが出来ました。
昨日、先生方の最終的な校正が終了し、後は、誌面の構成、編集、印刷に入ります。

夫が病気になった時、友達が「強く思えば叶うよ」と、何度も言ってくれました。
くじけそうになった時、この言葉をいつも思いだしてきました。

「強く思えば叶う」

もちろん、思っても不可能なことがあることは理解しています。
でも、変えられることはある。

もうすぐ、夫が告知を受けてから2年の月日が流れようとしています。
がん患者の家族として、時には泣き、途方に暮れ、もがきながら歩んできた日々。
強く思っても、夫は手術することはできませんでした。
でも、1年前の夢は現実に変えることができました。

これでいいんだな…と思います。
今、自分が置かれているところで、出来ることを一生懸命にやるしかない。

2年前とはまったく違う11月を目前にして、自分は確かに新たな波に乗っていると
感じている。
ちょっと成長したかなと思っています。