あぁ、悲しい。この漢字が読めなかった。

多分アレだろうなとは思うものの、そのアレを思い出せなかったのである。

松井今朝子 『江戸の夢びらき』 の中に

 対岸に舫う釣り舟が一幅の墨絵と化して目をなごませてくれる。

という文があった。

「舫う」 という文字にはフリガナはついていない。常識的に分かるはずだということだろう。

それを読めなかったとは、情けない限りである。読解力が落ちている証しかもしれない。

「舫う」 はもちろん [もやう] と読むに決まっているのに、その言葉が思い浮かばなかった。

この小説では 「大切な」 と書いて [だいじな] と読ませる類のものもあって面白いのだが (そういうところにはフリガナを付してある)、「舫う」 なんてのはそのままなのに ・・・