この頃、篠田鉱造 『増補 幕末百話』 (岩波文庫、1996、2008) という本をチョコチョコと読んでいる。

その中に、こんな文があった、

 行儀作法は、立派に鹿爪らしく試験教授の前へ出るが、本を読まされると、殆ど菽麦を弁えない

菽麦 は [シュクバク] と読む。

菽 という漢字の訓読みは [まめ] で、つまり 豆 のこと。特に大豆のこと。

「菽麦を弁ぜず」 という文句の出所は 『春秋左伝』。

意味は、豆と麦の区別もできない、つまりそれほどに愚かであるということ (→ デジタル大辞泉 [菽麦を弁ぜず])。


* 「菽麦を弁えない」 というのを見て、「何じゃ、ソリャ?」 と思った私は、知的なレベルにおいて、それら旧幕臣を笑えない。


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幕末百話増補 (岩波文庫) [ 篠田鉱造 ]

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