この表現は、どこかで見たか聞いたかしたような気がしたが、はっきりとは思い出せなかった。


戦前の上海に内山書店というのがあったのだが、その書店を開いたのが内山完造という人。

内山完造の書いた文章の中に次の文があった (平野純・編 『上海コレクション』 所収 「中国人の生活風景」 から引用)。

 飲んだ酒なら酔わずばなるまいで、八百屋店を開業したり、喧嘩したり、泥酔がその細君にいかに重荷であるか、子供の教育にいかに妨げになるものであるか、今さら説明の要はないはずだ。


「八百屋店を開業する」 は 「八百屋を開く」 という表現に少しユーモアを含ませたもの。

「八百屋を開く」 は、「小間物屋を開く」 とか、「デパートを開く」 という言い方になることもあるそうだ。

それらは何を意味するのかというと、ネット上の 「隠語大辞典」 [小間物店を開く] を見ると

 嘔吐することをいふ

とある。

なぜ 「嘔吐すること」 が八百屋や小間物屋を開くことに通じるのかという説明は、あまり気持ちのいいものではないので、省かせてもらう (笑)。


この表現は、国語辞典に載せてくれててもよさそうなものなのになぁ。