上戸下戸 という用語は大宝律令に出ているものだそうだ。

課役の対象となる者の人数によって 上戸・中戸・下戸 という分類がされていたという。

今日では酒飲みとそうでない人を区別するのに用いられる語になっている。

なぜそうなったのかは、必ずしもはっきりしないというのが本当のところらしい。

それはそうとして、上戸 を ジョウゴ (じやうご) と読み、下戸 を ゲコ と読むのはなぜなのだろうと思った。

同じ という文字であり、上か下かという文字の次に という文字が置かれているのだから、形としては同じだ。

それなのに片方は ゴ と読み、他方は コ と読む。

を ジョウ と読み、 を ゲ と読むのはどちらも 呉音 の読みだ。

を コ と読むのは 漢音 の読みで ゴ と読むのは 呉音 の読み。

それなら 下戸 は ゲゴ と読みそうなものなのに、そうは読まない。

不思議である。


* 私は 上戸 を ジョウコ と読んでいたが、鈴木眞哉『下戸の逸話事典』(東京堂出版, 1995) を読み始めて、間違った読み方をしていたことに気がついた。