ご無沙汰しております。株式会社ソリッドチューンの高本です。
引き続きマリシアスのサウンドを担当させて頂きました。

 

2月27日にサウンドトラックが発売されました。
お買い求め頂いた方、どうもありがとうございます。
今回もマリシアスの曲がどのように作られたのかをお話したいと思います。


前回では曲をイメージ資料から作成する方法を紹介しましたが、
再誕編(Vita)と終焉編(PS4)のテーマ曲(シーンセレクト曲)は
これとは違う、少し変わったやり方で作成しています。

 

初代の討伐編(PS3)のテーマ曲と各ボス曲はイメージ資料から作成しましたが、
シーンセレクトはシリーズ通して見た目が同じなので、その後のシリーズの
テーマ曲はイメージ資料ではなく、その場の空気感を元に作成しています。
(空気感となる音を先に作り、そこから得たインスピレーションで曲に仕上げる)

 

2作目の再誕編テーマ曲は初代の討伐編のテーマ曲を加工して
空気感を作り、そこからインスピレーションを得て曲に仕上げています。
同じように、3作目の終焉編テーマ曲は2作目の再誕編テーマ曲を
加工して作った空気感から仕上げています。

高そうな鰻屋のようにタレを代々継ぎ足して味に深みを出す感じでしょうか。

 


空気感から仕上げた曲がもうひとつあります。

フォールンのサントラを聞いて、再誕編のテーマ曲が重複しているのでは?と
思った方も居るのではないでしょうか。

 

 12 REBIRTH OF MALICIOUS(再誕編テーマ曲)
 21 PURSUIT OF THE MALICIOUS(終焉編新規曲)

 

「PURSUIT OF THE MALICIOUS」の方が先に出来た曲なのですが、
この曲は世に出る予定のないものでした。

「PURSUIT OF THE MALICIOUS」は狂王となったアーシェレイラが
平穏に暮らしていた頃の要素(将来の希望)が入っているのですが、
再誕編で使うにはちょっと早過ぎたようです。
(サブリミナル的にヴァレリアとエーリカの子供の頃の声が聞こえます)

 

この曲は癒し要素が合わないという理由で再誕編で使われる事はなく、
私自身すっかり存在を忘れていたのですが、
終焉編ではイメージと合っているという事で使われる事になりました。

どの曲の空気感も、単純に面白そうだから入れた、というわけでなく、
曲を作るためのとっかかりとなった名残になります。


忙しいゲームなので、プレイ中は曲の方まで気が回らないと思いますが、
サウンドトラックでその場の空気を感じ取りながら聞いて頂けるとうれしいです。


【おまけ】
<討伐編シーンセレクト曲の空気音>

https://youtu.be/PH1ib4qLBiM