【夜明けを首に巻く】

 

この三連休に銀座で開催されていた沖縄工芸フェアで、

弥生さんに会えた。

 

西表に住む友人の弥生さんは、

自ら西表の草木で染めた糸を、

時間をかけて丹念に織る。

 

どんな色の組み合わせで、

どんな模様を織り込むかも考える。

 

「ティダ」という弥生さんの通称は、

太陽という意味だが、

昨年わたしの元にやってきた、

ティダさん作の黄色いストールには、

西表の太陽の光が織り込まれているようで、

身につけるとエネルギーチャージされる気がする。




 

先月、弥生さんがインスタにアップした

完成したばかりだという織り物の、

濃いブルーからオレンジへ向かうグラデーションが、

彼女が毎朝投稿している夜明けの海の写真と同じ色合いで、

夜明けが織り物に宿ることを知った。






 

糸を染めて布を織ることは、

神が作った自然を、

人の手によって再編集することだ。

織り物として生まれ変わった太陽や夜明けは、

いつでもどこでも持ち歩けるようになるのだ。

 

そして一昨日、

そんなことはすっかり忘れて、

沖縄工芸フェアに向かったわたしは、

西表ブースで弥生さんと再会し、

今回は欲しいものないのかなぁと、

何度も見回したあと、

上の方にあったストールとバチッと目があった。

 

これだ!と迷わず持ち帰り、

夜になって気付いた。

あれ?これってもしや、、、

先月インスタで見た「夜明け」なのでは?

 

たくさんの展示物に混じって並んでいると、

だいぶ雰囲気が違って見えて、

あの「夜明け」だと気付かなかったのだ。

 

再び「夜明け」と目を合わせ、

会場で気付かなくてごめんー

しかし目が合うわたしたちってすごくない?

よくぞ、うちに来てくれました

と対話。

 

さて、

今日からいきなり肌寒くなった東京で、

早速わたしの首に巻かれている「夜明け」のせいか、

なんだかやる気がフツフツと湧いてくる。

布に宿った昇る太陽の仕業に違いない。