空の彼方に・・ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ジョン ブリアン


僕は・・ うんと悲しいけど

日記を言わなきゃ



2回夜が来た前(8月15日)の夕方、《伐》と《今日ちゃん》に連れられてニャバーランドに行ってしまった《インジゴ》のこと・・

魔女が書く日記の続きがあるのに、何にも言わなくなってしまった

だから僕が・・言わなきゃ・・


僕はその日の朝、初めて《インジゴ》の病気を知ったんだ

そして、夜にはもう・・ 《インジゴ》は・・ 動かなくなってしまった



魔女が《インジゴ》を抱えて2階から降りて来た

その時、僕は玄関のタイルが冷たいから

そこの靴箱の下で涼んでいて・・


魔女はそのままうろうろといろんなお部屋を覗いていた

「この部屋も暑い、ここもダメだ」 とぶつぶつ言いながら


そして最後に、《インジゴ》を抱えたまま人間のトイレの部屋に入って行った

それから猫用のトイレと水の器とご飯をそこに運び込んだ


1階のトイレは一番涼しい

僕らは、扉が開いていると必ずそこに入り込んで涼む


魔女と《インジゴ》は、そこに入ったままなかなか出て来なかった

しばらくしてひとりで出て来た魔女は、

風通しがいいようにトイレの戸を少しだけ開け、そこに何かを挟み、それ以上扉が開かないように椅子でつっかえ棒をした


それから魔女は用事があるみたいで出かけた

すぐに帰って来るようで、玄関のドアは開けっ放しだった


僕は少しだけ開いてるドアからそっと中を覗いた

そこには《インジゴ》がうずくまっていた・・


僕はそこを離れられなかった

どうしよう・・ 《インジゴ》、いったいどうしたの・・ 


しばらくすると・・ 

《インジゴ》が・・立ち上がろうとし始めた

なんとか立ち上がって、やっとの思いでトイレに入った

おしっこをしていて・・ そのまま倒れてしまった


僕は訳が分からなくなって、トイレの前を行ったり来たりした

それからドアを開けようと必死で引っかいた

ドアはガタガタと音を立てるばかりで、僕の力ではどうしてもそれ以上は開かなかった


《インジゴ》は、這うようにトイレから出て

その場に横たわってしまった

僕はどうしたらいいか分からなくなって、変な声を出してわ~わ~鳴いていた


《インジゴ》はそこでまたおしっこをした

横たわったまま、おしっこをした



「大変だ・・ 大変だ・・」



僕は階段を登ったり降りたりしながらひたすら鳴き続けた

僕の心が錯乱していた



魔女が帰って来た!

僕は入り口で魔女にしがみついた



「《インジゴ》が! 《インジゴ》が!!」



魔女は階段を駆け下り

椅子を放るようにどけてトイレのドアを一杯に開けた


そこには・・ 手や足・・体をいっぱいに濡らして・・

《インジゴ》が横たわっていた



「魔女・・ ごめんね・・」



《インジゴ》は魔女に抱かれながら小さな声でそう言った


魔女は泣きながら《インジゴ》の体を何回も拭いた


僕はどうしようもなくて、黙って外に出た

あれは夢なんだ、絶対に夢だ!

と思いながら、あてもなく庭をうろついた



夕方になって

少し涼しくなって


魔女が外に出て来た

タオルにくるまれた《インジゴ》が魔女の胸に抱かれていた・・

それから魔女はお庭を歩きまわった



「《インジゴ》の大好きなお庭だよ・・ ほら、ここ・・いつも座っている桜の切り株・・ これは大好きな草でしょ・・ よく食べてたね・・ 食べる?」



魔女はそれらのひとつひとつの場所に《インジゴ》を近づけては話しかけている

《インジゴ》は魔女に抱えられて

じっとそれらの場所を見つめている


それから魔女は家の下の階段を降りて行った

何でだか僕はついて行かずに、花壇から二人を見ていた

その時僕の心はぐちゃぐちゃになっていて・・


いつの間にか、《ユリぼうず》と《水玉》が隣にいた

僕と同じに小道を下る魔女と《インジゴ》を見詰めている


魔女はビワの木のある家の方に行った

《インジゴ》が 『魔女におみやげ』 と言っては

その家から枯れたビワの葉をせっせとくわえ、そこと家を何回も行ったり来たりして運んで来ていた

そして、最後には長いビワの枯葉の道を作ったんだ



まじょねこ日記-injigo060824

 

    

       インジゴがせっせと運んでは魔女にくれた枯葉たち



                   まじょねこ日記-injigo2 060824




戻って来た魔女は、そのまま家の横を通り越し、お化け屋敷の方に向った

《インジゴ》は、そこでよく虫を見つけては遊んでた

なぜか、《涼子》は《インジゴ》だけには怒らなかったな

僕らのいる花壇からは、お化け屋敷の様子は見えなかった



戻って来た魔女は、家に入り、そのままテリャスに行った

僕らも後をとぼとぼとついて家に入った

いつの間にか《アゾ》もついて来ていた

テリャスの淵には《ジンジン》が乗っていて

ずっとそこからお庭の魔女と《インジゴ》を見ていたようだ


魔女はテリャスから《インジゴ》に遠くの景色を見せた

夕焼けの景色だ


僕らは・・

もう誰も口をきかなくなっていた

ただ、みんな黙って《インジゴ》の側にいた


《インジゴ》は魔女に抱かれていつまでも夕焼けの空を見ていた



僕も魔女も泣いちゃって

これ以上日記が書けなくなっちゃったから・・

つづきは明日にします