さよなら・・ 今日ちゃん | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


昨日、ベランダで大きな花の赤ちゃん(蕾)を見つけた

魔女が言った 



「これは月下美人といって、《今日》ちゃんの大好きな花だね、今夜咲くよ・・」


前はお部屋に中に置いてあって

暑い時期になると、夜突然強い匂いがし始めて花がベリベリと開きだす



それは忘れられない匂いで

咲き始めると、《今日》ちゃんはいつものソプラノ声で

「ワォ~」 っと鳴いて強い匂いなのに花の前で匂いをかぐ

そしてその夜は、花の下で眠るんだ



         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




僕は夕べも晩ご飯を食べに帰らないで、気づかれないように《今日》ちゃんの見張りをした


夜になると、《今日》ちゃんは辛そうにし始めた

何度も立ち上がりかけては倒れた


僕はひどく心配な気持ちになって、魔女を呼びに行かなきゃ、と思ったその時

向こうから何かがやって来るのに気づいた

僕は体を低くして身構えた


それは、暗い中をまるで昼間のように歩いて来る

あれは・・魔女だ


魔女は《今日》ちゃんのそばまで来ると

そこに座って《今日》ちゃんの手を握った


《今日》ちゃんのそれを聞くのはすいぶん振りだった

喉をゴロゴロ鳴らす音は、微かに僕のところまで聞こえた


《今日》ちゃんは落ち着いたみたいでおとなしく横になっている

すると突然、風に連れられてげっかびじんの花の匂いがここまでやって来た

《今日》ちゃんの大好きな花・・ 咲いたんだね・・


長い時間が過ぎて

あたりが少しだけ明るくなってきた

魔女はっずっと《今日》ちゃんの手を握り続けていた


《今日》ちゃんが何かを言いたいみたいにして顔を持ち上げ、魔女をじっと見た

魔女は《今日》ちゃんに顔を近づけて何かを聞いた


そして、《今日》ちゃんの頭を撫でながら

「わかった・・・」 と言った


それから魔女は立ちあがり・・ 帰って行った

途中で魔女は一度だけ振り返った

振り返った魔女の目からは、涙がいっぱいこぼれてた・・



間もなく、《今日》ちゃんは起き上がって歩き出そうとしていた

けど、一歩踏み出して倒れてしまった

それでも 《今日》ちゃんは這いながら、少しずつ、少しずつ、どこかに向かっていた


途中で 《今日》ちゃんはもう一回立ち上がったけど

ちゃんと歩けなくて横にあった溝に頭から落ちてしまった

《今日》ちゃんは水に濡れてしまい、その顔も体も泥だらけになった


僕は、これ以上見ていてはいけないんだ・・ と思って

そのまま草むらにうずくまってしまった

どうにも出来ない自分が辛くて、悲しくて・・



朝がきた

僕は《今日》ちゃんが向った道を歩き出した

少し歩いて・・ 僕は思ち立ち止まった


古い木の箱の隙間に、《今日》ちゃんが眠っているのが見えた

《今日》ちゃんは疲れてしまったみたいで、もう動かなかった




《今日》 ちゃんが向かった先には・・

   

    夜明けの空が映ったアトリエの窓が見えていた