みんなでお散歩 Ⅰ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


今日もお散歩に行った

人通りの少ない道をあちこち歩き回るんだ

いつも僕たちは家の周りのそれぞれが気に入った場所で遊んでいるんだけど、魔女が家から出て来て



魔女「散歩に行く!」


みんな  キャーキャー   言って集合する 




魔女と一緒だと遠くまで行けるから面白いんだ


上機嫌でどんどん歩く僕



ジンジン 「いつも思うんだけど、《伐》は何でそんなにドタドタ歩くの? もっとフツーに猫らしく歩けないの?」


伐 「いちいちうるさいな! 僕はデカいから道が勝手にドタドタ言っちゃうんだよ!」



いつもはふざけて悪戯ばっかしてるのに、家が遠くなるとビクビク歩きになる 《水玉》 、新入りの 《ジョン ブリアン》 は魔女にぴったりくっついて歩く


そしてユリぼうずはいつもちょこちょこ歩きだ



散歩は楽しい・・ 



知らないものを見つけたり


知らない臭いをかいだり


犬に出会ったり・・・


でも前は今よりずっと楽しかった



僕たちはまだ子供で、まだエダ母さんや、ギズモ姉さん、ノーム兄さんもいた


その頃は 《インジゴ》 がご飯を2回食べるくらいの (15分位、インジゴは食事にかける時間が長い) 所にある大きなオリの中の空き地 (使われていないテニス コート) に 行っていた


そのオリの中はすごく広くて誰も来なくて安全だから好きなだけ遊べるんだ


時々、犬を遊ばせてる人とかが先にいたりするんだけど、僕たちと魔女がベローっと並んでうらめしそうに金網越しに見ているのに気づくと、必ずみんな帰って行った


その中には高い椅子があって (審判台) 、僕は必ずそこに座って偉そうにして見せた

みんな追いかけっこしたり、虫見っけしたり、好き勝手にいっぱい遊んで、いつもヨタヨタで家に帰ってた


ある日、いつも通りにそこへ行くと、先に走って行ったジンジンが 戻ってきて魔女にフバフバ言った



魔女 「何だって!」 



魔女が走り出したから僕たちも走ってついて行った


そこには大きな機械がいて、オリも空き地もメチャクチャに壊していた・・・

僕たちは何がどうなったのかわからなくて、そこに立ちつくしていた



魔女 「帰ろう・・・」



帰り道は誰もふざけなくて、話もしなかった

みんな黙ったままだった・・・


それからというもの、僕たちは楽しみがなくなって毎日しょんぼり暮らした


そんな時、



魔女 「梅林を見つけた!行ってみる?」


みんな 「行ってみよう!行きたいよ!」



みんな口々にキャーキャー叫んだ





そこは、けっこう近くて、《インジゴ》 がご飯を1回食べるくらいの歩きさだった 

木がいっぱいあって、地面は草だらけで、すごく良い所だったんだ




僕たちは喜んですぐに木に登り始めた 

でも、しっぽの小さな(短い)子は上手く登れなかった 

それで魔女が抱っこして太い枝に乗せてあげるんだけどプルプルしてて動けないんだ 


僕たちはそれを見てピャーピャー笑った 

魔女はしっぽがないくせにすごく高くまで登った

暑い頃に行くと、《インジゴ》 と魔女は木にくっついた実 (グミ) を食べていた  


僕たちは 「よくあんなもの食べるよね、おいしくないじゃん」 とコソコソ言った 

寒い頃行くとやっぱり 《インジゴ》 と魔女は草の花 (水仙) の臭いをかいでいた



僕たち 「やっぱり、あいつら変だよ」


コソコソ言い合った




この前の、もう1っこ前の冬のある日、



魔女 「そろそろ梅が咲いたんじゃない?見に行こうよ」


みんなでまたキャーキャー言ってでかけた 

冬だから魔女がずっと外に出なくて、久しぶりだったからみんな大喜びした

でも、そこに着いた時、僕たちは
(違う所に来ちゃった?) と思った



梅林がない・・・ 



そこには大きな機械があって、その時人間は誰もいなかった

魔女が梅林のあった方へ歩いていったから僕たちもついていった


木は全部倒れていた


花の草 (水仙) は土と一緒にグチャグチャになっていた 


実のできる木も倒れて半分に折れていた

木も草もきれいに花を付けたのに泥だらけにされていた・・・

しばらくして、魔女は泥の中から花の草をいくつか選んで取り出した

それから花の咲いた梅の枝をいくつか取った 



魔女 「帰ろう・・・」



僕たちはみんな、かたまって黙って歩いた

家に着くと魔女は庭に取ってきた草の花を埋めた

部屋に入ると、入れ物を出して来て梅の花を飾った  


部屋の中が花のにおいでいっぱいになった


そして僕たちには思い出だけが残った・・