今回紹介する駅は留萌本線の峠下駅です(廃駅)
峠と名の付く駅はいくつかありますが、峠と名の付く駅のイメージは山奥の鬱蒼とした場所にある駅という印象を受けます。
今回紹介する駅は峠下駅。峠を下ったところにある駅ということで名付けられたのでしょうか
そんな夕暮れ時 今日も時刻通り、待人のいなくなった駅舎に列車が入線してきます。
一日数本の列車を待ち続ける駅舎。 かすかに聞こえてくる鉄の摩擦音が列車の接近を知らせ、 自然の静寂に支配された空間が次第に人の支配する時間へと変わっていく。
無秩序に響き渡る鉄の音、山間に響き渡る踏切の音、慌てて飛び起きたかのようにけたたましく鳴り響く駅のブザー、幾多の雑音を靡かせながら遠くの丸い光がだんだんと大きくなり列車がホームに入ってきます。 なんとも安心する瞬間です。
待ち合わせ列車が入線
到着 夏の終わりの涼やかな風が周囲を包み込みます。
列車の滞在は交換も含め1,2分程。乗降客のいない駅
廃線後はその列車までもが姿を消していきます。
鳴り響く踏切の音が止むと列車の音も次第に薄れていき、再び自然の静寂が辺りを包み込んでいきます。
あれだけ賑やかだった喧騒が噓のよう。 駅舎に灯ったあかりだけが心の拠り所です。
誰も来なくなった頑丈な駅舎。これだけ駅舎が立派だと、引き戸を開けて駅舎に一歩踏み入れると、温かく迎え入れてくれる気がします。
この場に残った駅舎と私。 立派な駅舎は落ち着きます。
目的を達成したので私も駅を去ります。
この地に光る最後の灯が消えるまで
自然へ帰る準備を始める峠下駅でした。
ではまた!