平成20年度市民劇団迷子座本公演『父子嶋異聞』 | 大野城市民劇団「迷子座」ブログ(仮)

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平成20年8月24日(日)14時~、大野城まどかぴあ大ホールにて行われた『父子(ててこ)嶋異聞』(大野城民話「父子嶋」より )。


◆◇◆◇◆あらすじ◇◆◇◆◇

時代は白村江の戦いで大敗した大和朝廷が新羅の軍隊が攻めてくるのを恐れて、『水城』の築く命令を下した時代。


水城は西暦664年に造られた堤です。福岡平野のもっとも狭小となる場所に造られました。規模は長さ1.2キロメートル、基底部の幅80メートル、高さは10メートルを超え、すべてが人口の盛土から出来ています。『日本書紀』の一節に「大堤を築きて水を貯えしむ」と書かれていますが、これは博多湾側に濠を設けて水を貯えたことが、発掘調査の結果からわかっています。東西2ヶ所の門や大宰府側から博多湾側の濠へ導水する巨大な木樋(もくひ)が明らかとなっています。(大野城市教育委員会「父子嶋(ててこじま)(下大利)」より引用)


白村江の戦いで大敗した百済。二人の親子は、祖国(百済)を亡くしました。

大和朝廷の兵も百済と一緒に戦いました。そのうちの大利の村頭はその戦いに参戦してました。激しい戦いの中、たくさんの仲間が亡くなりました。大利の村頭は足にけがをして逃げているところを助けたのが、祖国を亡くした二人の百済人の親子。戦が終わり、大和朝廷(倭の国)に戻った大利の村頭は二人の親子を自国へ連れて帰りました。


物語はそこから始まります。


他国から来た親子をいじめる村の民。みんな、白村江の戦いでの村頭とその親子の関係も露知らず、「乞食」だの「新羅の回し者」だの言っては、いじめ抜いていました。


新羅の軍が攻めてくるかもしれないということで、長い間公役で大堤を築かなければならない村人はそのストレスを他国から来た二人を『よそ者』扱いしていたのです。


ある日、見かねた村頭は百済から来た親子の話を村人にします。それでも、まだ何となく納得のいかない一部の村人。


そんな時、長い長い堤がやっと出来上がる頃、大変な大雨で堤が決壊しました。工事の責任を問われて捕らわれた村頭。村人は村頭の事をすごく信頼し、愛していました。なので、村中こぞって修復に取り掛かろうとした時、百済から来た親子(父)は言いました。


「この土手、崩れたの、訳がある」


百済の親子は祖国での版築(中国式の土壇・土壁の技法)の方法や、樋(水を流すために、竹や木などで作った管。開閉させて水を出入りさせる水門)の技術等を村人に伝授し、懸命に堤を修復しました。


それを見た防人は大利の村頭を解放し、その里の長を命じられ、さらにはこれから建築が計画される『大野山築城の元締』を仰せつかったのです。

当時、その地域を取り仕切っていた那津宮様からその証として『衣』を授けられたのです。


状況を知っている防人の二人も那津宮様に「堤が崩れたわけは自然の脅威である」事を事前に伝えていたので、宮家の役人も大雨の事は知っていました。


そんなある日、タケルは宮家の役人に命を張って言いました。


「堤を壊したのは大雨だ。科人は大雨だ。大雨の罪を何で人が負わねばならぬ。大雨の罪を人に負わせるのか。どうしても罪を負わせる人がいるのであれば、己が頭の代わりをつとめる」


宮家の役人はタケルの振る舞いに立腹しましたが、防人達の口添えもあり、事なきを得ました。


その後、タケルは毎晩、作業の様子を三里の道を走って那津に知らせに来ました。


その振る舞いを見て、那津宮様は大利の村頭を長とし、称号を与えたのです。


さらにはこの作事でできた大堤を朝廷はたいそう喜び、『水城』と名付けました。そしてあえてこの地域にできた堤を百済親子の活躍を見て『父子嶋(ててこじま)』と呼ぶことにしたのです。


祖国を失った父と子が明日を生きるために作った島、父と子が心をこめた『父子嶋』。


そして、父、吉三は大野山の山城建設のたくみを命ざれ、息子、平太はこだくみを命じられました。


村の衆はその名誉に感動し、その後、大野山の山城建築に携わり、百済から来た親子も倭の国の民として村人に受けいられ、幸せに暮らしたのです。


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☆キャスト紹介☆

村頭 : 副島 信次

吉三 : 藤 嘉昭

平太 : 馬場 徹

タケル : 藤 隆興

タカオ : 岡部 茂一

チカラ :  藤井 隆光

津潟 : 三上 博文

大門 : 岩下 剛司

フク : 藤 藤子

イネ : 神野 由美子

ハツ : 豊村 成美

村人1 : 井上 亜耶


☆スタッフ紹介☆

脚本・演出 : 長澤 幸司

舞台 : (有)江藤工務店

音響 : 縄田 靖弘

照明 : 松浦舞台照明

メイク : 副島 スミヱ

美術 : 豊村 成美


船越 正彦 ・ 新飼 由香梨 ・ 後藤 郁子 ・ 馬場 正昭 ・ 田中 真美 ・熊谷 修平 ・ 馬場 美根子 ・ 加藤 一也 ・ 加藤 香恵


主催:大野城市民劇団迷子座、(財)大野城市都市施設管理公社

後援:大野城市、大野城市教育委員会、大野城市文化連盟


(本公演パンフレット参照)