カンボジアから帰国した、次の日。
お仕事のオリエンテーションのため、名古屋に出た。
この日はパンプスははかず、カバンの中に。
すり減ってしまったヒールのゴムの部分をお直ししようと、白洋舎さんにお邪魔した。
名古屋地下街にあった白洋舎さんは、いつも三人のおじさまがローテーションで靴修理をして下さっていた。
とてもアットホームで、靴を大事にしてくれて。
営業職時、どんどん履き潰れるパンプス。
昔から何やかんやと、お邪魔していた場所でした。
この日赴くと、やはりおじさまがひとり。
ただ、白洋舎の看板は外れていました。
あれあれ、と、伺うと白洋舎はなくなり、今は別の会社の中でお仕事をされているとのこと。
他の二人のおじさま、すでに15年4月、引退されたとのことでした。
お一人残ったそちらのおじさまも、もうすぐ引退かなあ、と、ポツリ。
ヤメナイデー(´・ω・`)心のつぶやき。。。
さて靴修理をお願いしたところ、ゴムの交換と併せ、つま先の底の部分、地面と接触するところに一枚、クッションを張りましょう。持ちが良くなりますよ、とのこと。お願いしますと答えました。
私の靴はカナダで購入した安靴、
ヒール部分のゴム交換を始めると、問題がありました。
安く購入した靴は修理前提にできておらず、ヒールに通っている芯が太すぎ、無理矢理ヒール部分に差し込まれている状態。
ヒール部分と差し込まれた鉄芯がサイズ違いのため
鉄芯を抜くことができず、抜けないものは替えられない。
交換に非常に苦労するような出来栄えのものでした。
だめかなと思われたのですが、
それでもトライ、と、とんかんとんかん。ちょっきんとんかん、四苦八苦…。
なんとか、芯を取り出して頂きました。
結果、ゴムの部分を交換することができました。
ただし、次回同じ修理ができるかはわからないとのこと。
なのでつま先部分のクッションは、様子見ましょうね、と、おっしゃって下さいました。
もしかしたら次は、もうなおせないかも、無駄になってしまうといけないからね、とのこと。
隠れていた、サイズ違いの鉄芯部分。。。
靴工場の、どこかのワーカーさんが、きっと、えいままよ、なのか、気にせず気づきもせずなのか、作ってくれたのだと思います。
ふと、THE TRUE COST を思い出します。あ!ちょうど今日、11月5日公開じゃないかな。
私はインターネット配信で、カンボジアに行く前、一足先に、観ました。
映画は単純。私たちが着ている服、どこからきたの?
どうやって、つくられたの?
単純。単純。さて、どれだけの人が、そのバックグラウンドを語ることができるんだろう。
映画の中で、バングラデシュの縫製工場で働く、20歳そこそこの、若いお母さんは言いました。
私たちの血でできた洋服を、誰にも買って欲しくない
悲痛な表情で、でもはっきりと。
杜撰にできた製品を購入し、修理、お直しできないまま使い捨てること。
これが、苦しそうに話していた彼女を苦しめていることだと、今まではわからなかった。
ファストファッション、大量生産大量消費。
買っては捨て、買っては捨ての繰り返しは、彼女たちを過酷な条件化での労働に追いやり、低賃金で毎日、時と場合場所によっては18時間もの、労働を強いることになる。
見えない。でも、繋がっている。
私が着ている、履いているその服その靴は、彼女たちの血でできている。
たくさんのものがあふれる今、なおす人の価値はどれほど、理解されているんだろう?
というのは昔の私は、それを知らなかったから。。。
まだつかえて、よかった。
靴をなおしてくれたおじさま、ありがとうございます。
私はいま、靴をつくってくれたおそらく遠い国の人に、何かを届けることができないから。
いまはいているこの靴を、ねばって、大事につかいます。
あれ、こりゃおかしいなあ、あっ、太すぎる…と、試行錯誤する中で、おじさんはねー、もとはクリーニング専門なの!とか、白洋舎ハワイでお仕事していてね、とか。おじさまのよくできた息子さんのお話まで、楽しく会話をした15分ほどでした。
靴をなおしてくれたおじさま。かっこいいなあと思いました。
それでいて、無駄になる可能性があるおなおし(つま先のクッション)については、見送る判断をして下さったこと。
なおすひとへのリスペクトがとまらないのです。
みんなが急いで移動する地下街の小さな小さなスペース、ほとんど2、3乗?という場所で、せっせと靴を直してくださっていたおじさまがた。うーん、ありがとうをお伝えしたかったなあ。
おじさまには、まだまだ長く、いてくださいね、また、靴をなおしにきますから、と、お伝えしました。