ゴロゴロ・・・・
遠くから聞こえてくる音に顔を上げた。
「咲弥さん?」
「後ろから抱きしめて」
突然の咲弥の言葉に目を見開くが
ふっと目を細め、そっと背後に回ると優しく抱きしめた。
「珍しいですね」
「そう?」
咲弥は雷が苦手ではないはずだ。
それなのに、こんな風に甘えることなど無いと思っていた。
そんな彼女の口からでた言葉。
「雷は怖くないの」
「そうですか」
「でも、寂しくなったの」
「なるほど・・」
「駄目?」
「そんな事ありませんよ」
弁慶の手を握りながら訊ねる咲弥にそう答えると
外套の中に抱きいれそのまま口付けを交わした。
「弁慶くん・・」
「大丈夫ですよ」
「時々は抱きしめて。それで一人じゃないって思うから」
「いつも抱きしめてあげますよ」
弁慶の言葉に咲弥は嬉しそうに笑顔を見せ再び口付けを交わした。
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あとがき
休暇をとった瞬間、天気が一気に崩れ
雨と雷を見ながら恨めしい思いになっているので
弁慶さんに慰めてもらいました。
ベランダから外を眺めていると時々『ピカッ!!』と光る
雷光をみながら思いついた作品。
あっ・・・今、雷が落ちました。
凄いな~音が。
苦手な人はちょっと嫌かも。