こんな手なんて捨ててしまえばいい。
「タマキ・・・・・・くん?」
今、彼はなんと言った?
「いいんだよ、カナエ」
信じられなくて 目を見開いたまま動かない身体。
「もう・・・・・・偽らなくていいんだ・・・・」
寂しそうに俺を見つめ、もどかしそうに俺に微笑を浮かべる。
「気が・・・・・・ついて・・・・」
「カナエの事・・・・・ずっと見てたから・・・」
だからわかるんだ。とタマキくんは、ぽつりと俺にそれだけ告げた。
「なん・・・・・で・・・・」
だったら何で、俺を捕まえない!
なんで!仲間が撃たれ、倒れていく姿をただ見ていたんだ!!!
「みんなも大切・・・・・・だけど・・・・・」
タマキくんは困ったような顔を俺に見せた。
「カナエが大切だったから」
その言葉に、息が詰まる。
「タマキくん」
「いいんだ。カナエは戻りなよ」
無意識に首を横に振った。
「カナエは、カナエの大切な人の傍に帰って」
ズキズキと胸が痛む。
これはなんだ?
罪悪感?
ちがう
「嘘でも『好き』だって言われて、抱きしめられて、傍にいられて幸せだった」
頬を流れる涙
タマキくん
タマキくん
違う
俺は
「ごめん・・・・・カナエ・・・・」
そんな言葉を訊きたいんじゃない。
「好きになって、困らせてごめん」
悲しんでほしくない。
「これが最後だね」
そう言って、俺の前から姿を消した。
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あとがき
続きます。
本当に、かなりハマッてしまったみたいです。
タマキ視点よりカナエ視点が書きやすい。
最近しりました(笑)