whisper ~ささやき声 | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「あれ・・・?」


聞えてきた歌声に、望美はきょろりと辺りを見渡した。





whisper ~ささやき声





「咲弥さん?」


「あら、望美ちゃん」


太陽が西に沈み、辺りが暗くなり始めた時に聞えてきた歌声。

声のする場所へ向かうと、咲弥が縁側の柱に凭れかかり

優しい声で歌を紡いでいた。


Some day my prince will come


Some day we'll meet again


And away to his castle we'll go


To be happy forever I know

Some day when spring is here


We'll find our love anew


And the birds will sing


And wedding bells will ring


Some day when my dreams come true ~♪



「この曲」


「ああ、白雪姫よ」


「あっ!そうです!確か・・・タイトルは・・・」


「『いつか王子様が』だろ?」


背後から聞えた声に振り返ると、将臣が驚いたか?

と悪戯が成功したと言わんばかりに、笑って頭をポンッと叩く。


「もう!びっくりしたじゃない!」


「はは・・・悪いな」


「どうしたの?二人で・・・」


「私は、夕食の準備ができたから咲弥さんを呼ぶようにって」


将臣くんは?と問われると、将臣は咲弥を指差した。

正確には咲弥の膝に寝ている人物を指差す。


「え・・?弁慶さん?」


「気がついてなかったのかよ」


「だ、だって・・・」


こんな無防備に寝ている弁慶を見たことなどない。

隙など見せない人だと思っていた望美は

寝ている弁慶をマジマジと見つめる。


「・・・・・・・そんなに熱い視線を向けられると困るんですが・・」


「う・・わぁ・・・!」


パチリと目を開き、微笑む弁慶に望美は

顔を真っ赤にし「すみません」と頭を下げた。


「食事ができたようなの、起きてください」


「ありがとうございます」


「ねえ、咲弥さん」


みんなで部屋に行く中、望美が咲弥に訊ねる。

「なに?」と顔を向けた咲弥にうーんと悩みながら考える

望美の姿に、三人は顔を見合わせた。


「どうしたの?」


「あの、さっきの歌ですけど」


「ああ、『いつか王子様が』?どうかしたの?」


「日本語での歌も聴きたいなーって」


いきなりの頼みに、咲弥は面を食らってしまう。


「いいんじゃね?」


「人事と思っているでしょ?」


「お願いします、ねえ・・咲弥さん」


「・・・・・・また今度ね」


そう言って咲弥は、逃げるようにその場を離れた。
















「・・・・聴かれちゃったか・・・」


少し離れ、小さくため息を吐き呟く。


「好きな歌だな」


そう言って微笑んでいた彼も、望美のように私の歌を喜んでいた。


「・・・・・」


「一人で泣かないでと言っているのに」


ふわりと抱かれ、聞えた声。


「悲しい歌なんですか?」


「・・・・ううん、違うの・・・・・ちょっと、ね」


言葉を濁した咲弥の言葉に弁慶は抱きしめる腕の力を強めた。


「弁慶くん?」


「君のいた世界が君を苦しめるなら歌わないでください」












音楽用語のお題より 管理人 ひなた様



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あとがき


小さい頃、『白雪姫』にあこがれましたよね。(決定なの?)


姉と小さい頃の話しで盛り上がった時に

「真人は『白雪姫』好きだったよね~」と言われ

それで思いついた作品です。


ちなみに姉は『眠れる森の美女』がお気に入りでした。