「そうです!」
にこにこと、笑顔を見せて頷く望美ちゃんの顔を見ながら
私はあいまいに頷くことだけしかできなかった。
頬をぽりっと掻きながら空を仰いだ。
「さすがは、将臣の幼馴染だわ」
「それは褒め言葉って受け止めますね」
「でも・・・ね・・」
「でも、も!ありません!」
「はい・・・」
これ以上言うことはできないのだと、両手を挙げて降参のポーズ。
その姿に、本当に可愛らしい笑顔を見せた望美ちゃんは
朔ちゃんと一緒に私を部屋へ押し込んだ。
ところ変って、八葉が集まる部屋では
望美によって呼び出された八人と白龍が
今か今かと望美を待っていた。
「一体何時まで待たせるんだ!」
「まあまあ、九朗」
苛立ちを隠しきれないまま、立ち上がり
それを景時がなだめる。
その姿を何度見ただろうか?
他の八葉は各々のやりたいことをして時間を興じている。
「それにしても、望美のやつ一体何をしているんだか
九朗じゃないが、少し待たせすぎじゃないのか?」
「だけど、先輩は【見せたいものがある】って言っていたじゃないか」
「それは分かるけどな」
「お待たせしました~~~」
ひょっこり顔を出して、屈託のない笑顔を振りまいて
登場した望美に
必死で抑えていた景時はようやく肩の力を抜いて
笑顔で出迎える。
「遅い!お前はっ!」
「おいおい・・・・これは・・」
「えへへ。驚いた?」
九朗も、将臣もその場にいた全ての者が
望美の後ろにいた咲弥の姿に言葉を失う。
「望美ちゃん、もういいかしら」
少し照れた様子で咲弥は告げると、つけている着物を脱ごうと試みる。
しかしそれを望美が許すはずもなく、がっしりと腕をつかむと
にっこりと笑みを落とす。
その笑顔がやけに黒く見えるのは咲弥だけだろうか。
「行きましょう」
「ど、どこへ?」
「決まっているじゃありませんか!街です!」
「ちょ!ちょっと!」
強引に連れて行かれた咲弥。
その姿を呆然と見ているだけの、八葉たち。
気がついたのは、二人の姿がいなくなった数時間後のことだった。
「おい、あいつらは?」
「街へ行ったよ?」
首をかしげて告げる白龍の言葉に、天地の玄武を残した八葉が
慌てて屋敷から出て行く。
「なに?どうしたの?」
「・・・知らないくていいことだ」
「そうなの?」
残された白龍とリズヴァーンの会話をオロオロしながら聞いている敦盛の姿だけが残っていた。
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あとがき
なぜか、終わりが・・・。
こんなはずではなかったのですけど。
本来はもっと弁慶と絡ませてって考えていたのに。
結局は神子殿の勝ちってことで。
作者が負けました・°・(ノД`)・°・
長編はしばらくお休みです。