オースティンのランドスケープ、テキサスタワー。

以前は展望台まで誰でも昇ることができたが、今は不可能だ。


1966年8月1日、ここで惨劇が起きたからだ。


この時計台の展望台(高さ70メートル)から放たれる銃弾に

道行く人々が次々と倒れていった。

書店で立ち読みしていた大学生が撃たれた。

通行人の妊婦も撃たれた(彼女は助かったが、胎児は死亡)。

現場にかけつけて、柱の陰に隠れていた警官は、

ほんのわずかな隙を突いて撃たれた。


単なる銃乱射ではない。

なぜなら、時計台から人々を狙撃していた

チャールズ・ホイットマンは、

元海兵隊の腕利きスナイパーだったのだから。


わずか1時間半の間に14人が殺され、31人が負傷した。

(展望台の受付嬢と観光客2人はその場で殺されたので

狙撃による死者は11人)

前日には、彼の妻と母が

「僕の犯行で苦しまないように」殺されていた。


私は、「アメリカン・バイオレンス」というドキュメンタリー映画で

この事件の実際の映像を見ている。

見えない狙撃者におびえて逃げ惑う人々の姿が

今でも鮮明に焼きついている・・・


それを撮影していたのが、当時大学に籍を置いていた

トビー・フーパー(「悪魔のいけにえ」の監督)だ、

ということを聞いたことがあるのだが、本当なのかは未確認・・・


ホイットマンは、決死の覚悟で乗り込んだ警官に射殺された。

死後の司法解剖で見つかった脳の悪性腫瘍が

凶行のきっかけになったのでは? という見方もある。


・・・が、それは

「あんな好青年(彼はとても評判がよかった)が

あんなコトをするなんて、きっと病気だったんだ!」と

思いたいという“希望”なのかもしれない。


彼は“時計台の狙撃者”と言われ、

全米(世界中)の人が知る大量殺人者となった。

「パニック・イン・タワー」という映画にもなった。

この事件がきっかけでSWATが誕生した。


「フルメタル・ジャケット」では、

罵詈雑言を並べたてる鬼軍曹が

「ホイットマンは狙撃技術を海兵隊で覚えたんだ!」

と誇らしげに言っている。


sn


・・・そのくらい有名な大量殺人者が、

その惨劇の現場に選んだテキサス・タワーは、

テキサス大学オースティン校にあった。


私、テキサス上陸2日目にして

この重大な事実を知りました。


事件のことも、ホイットマンのこともよーく知ってたけど、

まさか、その現場がダンナさんの大学の構内にあったとは・・・


今はもう誰もあそこには登れないとわかっていても

なるべく死角に入ろうとしてしまう自分がいます・・・

つい時計塔に目がいってしまう。


銃社会アメリカでは、今だっていつどこで

こんな犯罪に巻き込まれるかわかったもんじゃない・・・


やっぱりアメリカは怖いなぁ。


ちなみに、この塔は、工事中にも死者が出ていて、

その後も自殺者が結構いたといういわくつきの時計塔。


なんか、別の意味でも怖いなぁ。


この塔、テキサス大学のアメフトチームが勝つと

赤くライトアップされるらしい。

私は未見だけど、なんか不吉な色らしい。


そんな塔に赤いライトアップをするセンスって

どうなんだろう。


・・・よくわからん。



今日覚えたスペイン語


pappasito = cute girl