「12RIVEN」(ゲーム)――その4
さて、今回からストーリーの感想に入ります。
Ever17とRemember11のネタに触れているので注意。
まず最初は・・・・・・残った謎(矛盾)に関して。
別に”謎”について解答を出そうとはしていません。投げっぱなしです。
以下、完全なネタバレ。
「私」って結局誰ですか?
「私」=鳴海という説が強いようですが、それはありえない気がします。
錬丸じゃないのは当然ですが、状況上鳴海も有り得ません。
前にも書きましたが、「私」のテキストが鳴海のものだとするのは無理があります。
なぜなら、このテキストが表示される直前の鳴海視点では、携帯は大手町の手の中にあり、また、このテキストの直後の文章中でも、鳴海の携帯は大手町の手の中にあります。
重要なのは、「私」は携帯電話を”取り出している”ということです。これはシチュエーション的に有り得ません。
もしあるとすれば、大手町から携帯を奪い、一旦しまった後で、また携帯を取り出して天気予報を確認し、もう一度大手町に渡す――という意味不明なプロセスを踏んでいることになるわけで。
もちろん、鳴海が携帯を二つ持っていたり、時系列が前後していたなら、このようなテキストが自然になる可能性はありますが・・・・・・。そのような描写が無い以上、「私」=鳴海と即断してはいけないでしょう。
では誰か、ということで、∫ルートプレイ前には、マイナか真琴と考えていたのですが・・・・・・・。どちらも可能性としては低い、ですよね。あえていうなら真琴のほうになるでしょうが、これも「私」=鳴海と考えるのと同じくらい無理のある話だと思います。
・・・・・・実際一番高い可能性は、”大手町が鳴海の携帯を持っている”という矛盾点に製作者が気づかなかった、というものだと思うのですが。そう考えてしまっては元も子も無いので、何らかの解答はないものか、と思いつつ。
次に、ロドモン。これも∫ルートプレイ前の推測で重要だと感じたにもかかわらず、∫ルートで完全にスルーされていて「え?」と思ったのですが・・・・・・。
真琴はどうやってロドモンを購入しホテルに運んだのか、という話。
確実に40kg以上あるわけです。・・・・・・一体どうやって運んで、そして、何故ReVで使ったロドモンのビンがインテグラルに転がっているのか・・・・・・。この空き瓶を移動させる手間も、相当なものがああるはず。
・・・・・・結局作品中ではノータッチでしたが、真琴の行動は、一人で行ったにしては無理があることがいくつかあります。これは一体、どうなっているのでしょうね?
そして、一番厄介なのがプレイヤーの介入です。
過去作品を考えれば、介入しているはず――と考えても良いものですが、では、どこに介入しているのか、という問題。
純粋に受け止めれば、「選択肢=プレイヤーの意思」なわけなので、錬丸と鳴海の識閾下ということになりますね。でも、はたしてプレイヤーが介入する必然性はこの作品にあったのでしょうか? 元々、この作品は小説として発表される予定だった・・・・・・ということを考えれば、当初はメタを考慮しないトリックだったのでしょう。
そうなると、ラストで少し姿を見せる、”プレイヤーか、それに準ずる者の存在”は、一体何の意味があったのでしょうか。
やはり、Ever17やRemember11といった、”プレイヤーが存在することによって話が成立する”物語に比べると、どう考えても必然性が薄すぎる&納得しづらい。無理やり追加した、という感覚は否めないかな、と。
選択肢を考えれば、”プレイヤーの選択”で過去が書き換えられ、現実が書き換えられているわけで。”とりあえずメタにしておけば良い”といった考え――なんかではないと思いますが、やはり納得できる道筋が思いつかないのも事実。
全くもって謎です。
まあ・・・・・・簡単に言えば、
”何のためにプレイヤーは存在したのか”ということです。
正直、介入していようがしてなかろうが矛盾は生じるので、その点はどうしようもないと思いますが。”何のためにプレイヤーは存在したのか”これを特定する材料は、作品中にはとても記されいるように思えません。そもそも、infinityシリーズをプレイしたことがなければ、プレイヤー介入という可能性なんて普通考えないでしょうし・・・・・・。
何か、良い解決は無いものでしょうか。