26年予備論文 民事訴訟法 答案 | magaterの予備試験勉強記録

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設問1

 XY間とXW間の訴訟について、それぞれの請求はXの甲土地所有権という「同一の事実上及び法律上の原因に基づく」(38条)ものであるため、通常共同訴訟による審理が可能と考える。これを前提として以下、併合審理の手段を検討する。


(1)まず、当事者の権利として、明文なき訴えの主観的追加的併合による手段をとることができるかを検討する。

 思うに、主観的追加的併合によって旧訴訟の訴訟状態を当然に利用できるとなると、訴訟が複雑化する弊害が考えられる。また、濫訴が増えるおそれがあり、時期によっては訴訟の遅延を招きやすいことも考慮すると、これを認めることは相当でない。

 従って、当事者に明文なき主観的追加的併合は認められない。


(2)当事者に併合を請求する権利はないが、裁判所には訴えの併合の権限が認められている(152条1項)。

 そのため、権限の無いXがとり得る手段としては、Wに対して別訴を提起し(133条1項)、裁判所に訴えの併合についての職権発動を求めることである。



設問2

 本件訴訟の訴訟物は、甲土地所有権に基づく返還請求権としての建物収去土地明渡請求権である。

 その請求原因事実は、(1)Xの甲土地所有、(2)Yの甲土地占有である。本件ではWがXA間売買契約締結の事実を争う構えを見せているため、(1)の具体的な要件事実としては、(ⅰ)Aの甲土地の元所有、(ⅱ)AX間の売買契約締結、となる。

 そして、Yにとって(ⅱ)はXの所有権を基礎付ける不利益な事実であるため、YのAX間の売買契約締結の事実の陳述は自白に該当する(179条)。

 主要事実について自白が成立した場合、証明不要効(179条)および審判排除効(弁論主義の第2テーゼ)が生じる。その結果、相手方のこれに対する信頼は保護に値し(2条)、当事者は自白された事実の撤回やその事実と反する主張をすることが封じられる。

 以上を前提に以下、Wの陳述の意義を検討する。

 

①について

 Yの自白の効力が参加人たるWの訴訟に引き継がれるかが問題となる。

 ここで、自白の効力が引き継がれると、参加人が自己の主張を封じられ手続保障を害することになり適当でないとも思われる。

 しかし、原告の既得の地位を保護する必要があり、また自ら進んで参加する参加承継の場合は新たな手続保障を付与する必要性を欠く。さらに、義務承継人の訴訟参加の条文(51条)では、時効の中断等が訴訟の係属の初めに遡って効力が生じるとする49条が準用されており、前当事者の訴訟追行の結果の訴訟状態も引き継がれると解するのが相当である。

 そのため、参加人たるWには参加前の自白の効力が引き継がれ、上記(ⅱ)に反する事実をもって争うことができない。


②について

 Wの参加後は、YとWは設問1で述べた通り共同訴訟人としての地位を有する。そして、「共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない」(39条)。そこで、共同訴訟人間に主張共通の原則の当否が問題となる。

 しかし、これを認めてしまうと共同訴訟人間の一方の陳述によって他方の陳述の機会を奪うこととなり、私的自治の原則に反することとなる。そして通常共同訴訟では固有必要的共同訴訟のように合一確定の要請(40条1項)がないため、主張共通の原則を堅持する必要性を欠く。

 よって、Yの自白について、共同訴訟人の主張共通の原則は働かないため、Wはその事実の陳述に反する主張をすることができる。


③について

 Yの自白は、Wの引受決定(50条1項)後に行われたものであり、XW間の訴訟継続が生じた後のものである。そうであればYW間は共同訴訟人の関係にあたり、②と同様にYW間の主張共通の原則は認められない。

 よって、Yの自白にかかわらず、Wはその事実の陳述に反する主張をすることができる。


以上