親愛なる君へ
きっと君は今頃は遠い街のどこかで
新しい生活にも慣れてきた頃でしょう。
こちらは夏の名残りも顔をひそめ
もう街路樹たちも紅葉し始めています。
君の住む街はいかがですか?
僕は今でもあの時に君と別れたことを
本当に二人にとって良かったのか分かりません。
だけど、きっとお互いにとって前を向くということは、
二人が一緒に居ることではなかったんだろうと思います。
こうして宛先のない君への手紙を綴っている僕は
いつでも君の幸せを心から願っているよ。
たとえ二度と会えない場所にいるとしても
僕は僕で生きて行かなければならないんだ。
そしていつか君の元へ逝ける日が来たときには、
君に言えなかったことを伝えたいと思っているよ。
いつかまた君に会えたときには、
君に見せたかったたくさんの美しい風景と
君を抱きしめて言いたかった「ごめんね」と「ありがとう」を
親愛なる君へ伝えたいと思っているよ。
きっと届くことのない手紙を心のポストにしまって…
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