むかぁし昔のことじゃった。
師走も年の瀬、仕事納めの日にのぅ。
浮かれた三五右衛門というお調子者が、
ばーげんの下見にと、ぷらんたんという店をひやかしておった。

LAUTREAMONTという南蛮風の店の前を通ったときにの、
これまた見たこともねぇハイカラな羽織が飾られておった。

またその店の売り子の江戸っ子気質といったら。
「ここだけの話、これ、バーゲンでお値下げしない商品なんですよぉ」
「今日も、他店からこのサイズの在庫問い合わせがあったんですけど、うちもこれが最後の一着でぇ」
「銀座ってふらっと来て買っていくお客様が多いじゃないですかぁ。明日にはないかもなんですぅ」
「ほら、お客様のストールの色、ぴったり!!マネキンに巻いちゃおぅ」

あまりの威勢のよさに三五右衛門は訝しんだんじゃ。
「つーか、バーゲンにダウンが出ないってなくない?」
「つーか、ロートレアモンなんてそこら中にあんじゃん、絶対他店にもあるって」
「つーか、人のストール勝手にマネキンに巻くなよ、返せよ」

かくして、「疑心暗鬼」という名の鬼に取り付かれた三五右衛門は、
手ぬぐいを取り返して一目散に帰ったそうじゃ。
傘は売らなんだので、ばぁさんは「それはいいことをしましたね」とは言わなかった。
雪も降らんかったし、地蔵が列を成してやってくることもなかったのじゃ。
鶴も来んかった。
ねこは2匹おった。


さて。


年も明けて、町中がなにやら祭りの様に賑やかじゃった。
目の色を変えておなご共がばーげんに行っておるので、
三五右衛門も先のハイカラな羽織を探しに、
近くの店までえっちらおっちら出かけて行ったんじゃぁ。

 OIOI →あった!!・・・でもサイズがない。・・・しかもやっぱ定価。
 そごう  →あった!!・・・あ!サイズもある!・・・しかしやっぱ定価。

三五右衛門は反省したそうな。
あの江戸っ子気質の売り子は本当のことを言っていたんじゃ。
三五右衛門は南の空に向かって深々と頭を下げたんじゃが、切腹は特にせんかった。


それからじゃ。
悩んだ悩んだ。
叩き売りには出されておらんかったし、
地蔵も鶴も来んかった。

なんせ、その羽織が三つもあれば、ibook買えるんじゃぁ。
うまい棒ならン千本は買えるんじゃぁ。食べ放題じゃぁ。

友達のおちえは試着に2日連続3回ずつ付き合ったそうな。
意外と優柔不断な三五右衛門なのじゃ。
そのくせ「福袋」なんか買ってしまううっかりさじゃった。



でも買っちゃった!!!!!!



だって超可愛いんだもん。
ダウンって、なんか甲殻類っぽいじゃん。
だんご虫っぽいじゃん。
ダブルステッチのキルティングはその心配ないもんね!


ばいばいダンゴ虫。


バーゲンって怖い。勢いで結構な散財をした。
あー、今年の冬はもうこれで打ち止めです。

・・・働こ・・・。


めでたしめでたし。