公演に向けて、知ってほしかった10のこと 後半 | ガチコの『えぐりこむように打つべし!』

ガチコの『えぐりこむように打つべし!』

闘う声優ガチコ。
明日に向かって打つべし!打つべし!

まさかのまさかずで文字数オーバーしたので前半後半に分けました。。。


⑥作品について
原題『DANNY AND THE DEEP BLUE SEA an apache dance』。
日本だと、鈴木小百合さん翻訳の『ダニーと紺碧の海』で知られています。
私が思うに、シャンリィ作品の中では日本で最も上演されている作品だと思います。
(今年5月にTOKIOの松岡さんも上演されるようです。今知った……)
もちろん海外では死ぬほど上演されてます。
初演の2人は止まらない海外公演のオファーにもう無理できないとNGだしたそうです。
そのくらいエネルギーがすごくて身を削る作品です。

副題のアパッシュダンスとは、パリのアパッシュ(ギャング)が生み出した二人で踊る激しいダンスのこと。
まさに、激しい芝居です。
個人的には、暴力的で激しさばかりが目についていて敬遠していたのですが、戯曲を最後まで読んだ時に、なんて愛しい作品だろう思い今回の公演を決めました。


深夜のBARで出会った孤独な男女の物語。
生きるのが下手くそすぎて全てが悪い方へ向かってしまう。
自分一人ではもうどうすることもできなくて、ただ嘆いて、暴力に逃げて、向き合うことから逃げていた。
そんなマイナス同士の二人が出逢った時、足し算でよりマイナスなのか、それとも掛け算でプラスになれるのか。
小さくて大きな「救い」の物語だと個人的に感じています。

危うくて脆くて救いようのない、だけどとても堪らない。

今回は原作を読んで、3人で翻訳して作りました。
だから、タイトルを「ダニー・アンド・ザ・ディープ・ブルー・シー」としました。
怒られるから言えないけど、このカタカナ感はニンジャスレイヤーとかを意識しました。

ゴメンナサイ。
怒られる覚悟をして、私たちのダニーをやります。
私たちにしかできない、私たちだけのダニーを。

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⑦公演に至るまで

本当は毎年公演やりたかったけど、スクランブルMACを旗揚げして1年以上経ってしまいました。
劇団ひとりの大変さを実感したので、相当やりたい作品に出逢えないとエネルギーが持たないと思ってました。
だから、無理やり毎年やるんじゃなくて、絶対やりたい作品を探してました。
そこで出会ったのが今回の作品。
作品は決まった。でも、2人芝居。
さぁどうしよう。

夢二と出会ったのは、スクランブルMAC旗揚げ公演の打ち上げです。
全体打ち上げの後、1人で次の日の夕方まで飲み続けてたんですが、気付いたら一緒に飲んでたのが夢二でした。
いつか一緒になんかやろうぜって話してたので、やるか、と。
で、正直ダニーの役は夢二ぴったりだと思ってて。意味不明な暴力性とか、突然キレる感じとか、ダメなところとか。
でもまぁ本人演出やってみたいっていうんで、じゃあやっぱり相手役探さなくちゃと。

続く


⑧公演に至るまで

この人とやってみたい!
と思った人には軒並み断られ、あぁ困ったと、完全に路頭に迷っていました。
そんな時、いつものようにレトロ会に遊びに行ったわけです。

レトロ会とは、早稲田OBを中心に(?)職種も年齢もバラバラで濃すぎる人たちばっかの筑前煮みたいな飲み会です。
全く別のアニメ業界の飲み会で知り合った方、っていうか高橋社長に誘ってもらって参加するようになったのです。慶應なのに。笑

そして、幹事の遅塚さんに思い切って誰か役者紹介してくださいと頼んでみたところ、いいのがいるよとその場で紹介されたのが渡部さんでした。

2つ返事で了承してくれた渡部さん。
その後本を読んでもらって、改めてオッケーしてくださいました。

やった!!!!!

キャストと演出揃った。
よし、行くぞ。

というわけで今回の公演が決まったのです。

ゴールデン街と、レトロ会が繋いでくれたご縁でした。
特に、レトロ会の皆さんはその後も全面的にバックアップしてくださいました。

メインビジュアルのカメラマンはレトロ会で知り合った池田カメラマン!
ポスターを印刷してくださったのはミカ製版の高橋さん!
稽古場貸してくださったのは高橋社長!

このスペシャルサンクス話きりがないから、公演終わったらまた改めて書きます。

兎に角、相変わらず、たくさんの人に支えてもらって公演やるぞ!となりました。

全ての人に感謝を込めて、実りのある時間を劇場で皆様と共有できますように。

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⑨劇場について

ゴールデン街劇場。
その名の通り、ゴールデン街にございます。
小さいけれども、年季と味が溢れている劇場です。
旗揚げ公演でもお世話になりました。
演劇だけでなく、お笑いやライブ、講演やイベントでも使われる場所。
劇団乾電池さんも公演されています!

今回、私も夢二もゴールデン街の人間なので、劇場もゴールデン街にしようと思った次第。街への感謝も込めて。
そして街の皆さんにも遊びにきてもらえたら嬉しいです。

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⑩テーマ、伝えたいこと。

作品のテーマは、“赦し”とか、“救い”なのかなと思っています。
救いのない人たちが、怯えながらも、必死で、それを見出そうとする。
むき出しの感情のぶつかり合い。
生であればあるほどに、それは痛々しくて見ていられなくて、なのに目が離せない。
血を流しながら泣き叫ぶ。
その先に愛があればいい。
感情の嵐のような舞台に、少しでもお客様が巻き込まれてくれたら嬉しいです。
不器用で愚かで馬鹿みたいな、いや馬鹿な二人を、愛しく思ってもらえたらなと思います。

あっと言う間の舞台になります。
けれども濃密な時間になります。
皆様と共有できますことを、心から願います。

我々は誠実に、ただ舞台の上で生きます。

皆様のご来場を、心からお待ちしています。
どうぞよろしくお願い致します。

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スクランブルMAC
萩生田真千子(MAC/ガチコ)




うん、長いですね。
ここまで改めて読んでくださった方ありがとうございます。

さて、私は伝えたかったことをちゃんと伝えられただろうか。
生きられただろうか。

まだまだ課題はございます。

ただ一つ言えるのは



楽しかった




辛いこと含め、毎日この芝居のことばっかり考えて生きていられたことが楽しかった。


ありがとうございました。


次回作を、どうぞお楽しみに。