今日は洋裁ネタで縫い代の話を書きたいと思うのですが、ちょっと専門的で初心者さんには理解し難い部分があるかもしれませんが、そうなんだぁ~ぐらいに読み飛ばしてください。
縫い代仕様は洋服の仕上がりのクオリティーにかなり影響する部分なのです。
アパレル業界の流れのの中で洋服の縫い代の仕様を考えるのは基本的にはパタンナーさん(型紙を作る人)の仕事になります。
現実、パタンナーさんが考える仕様と縫い手が実際に本生地を扱うときに仕様でズレが生じることが多々あるのです。
そこは仕事です。縫い手側からの意見も反映されてより良いパターン(型紙)が出来てシルエットのきれいな洋服となるのです。
そんな縫い代の始末を長年さまざまな既製服を縫ってきた経験から書いてみます。
私が仕事で縫っているものは既製服のサンプルで街で販売される量産に入る前の1枚や各色などの見本です。それと世間に出る前の衣装とかなのでブログで紹介することは出来ず、私のブログに載せている洋服は自分でパターンを引き縫った私物や縫い見本です。
基礎縫いミシン編 22
既製服の縫い代の始末(仕様)とグレードの関係
はじめに縫い代の基本的な始末をあげます。
縫い見本は生地に対して解りやすいように糸の色を目立つものにしていますが、通常は生地と同じ色の糸を使用します。白の生地には白の糸です。
薄い色の生地は特に糸の色を合わせないと表に糸の色が透けてしまいます。
縫い代の端をロックミシンをかけて、生地を中表に縫って割る仕様です。
基本的に生地に厚みのあるものの仕様として使われることが多いです。
裏ナシの仕様以外で裏つきスカートなどによく使われる仕様の一つです。
注意
あたり(アイロンをのせる事でテカリや後が付くこと)の出やすい生地ではロックの後が表側にひびくことがあるので注意が必要です。
そして、縫い割りで目が張るという言い方をするのですが、割ることで縫い目が開いて見えるような・・・生地には縫い上がりがきれいに見えないので不向きな仕様です。
初心者さんの縫ったものによく見られるのですが、この仕様で不向きな生地の一つにポリエステルサテンがあります。
ドレスなどでポリエステルサテンを使うことがあったら、縫い代は片倒し仕様の方がきれいに仕上がりやすいです。
さらにポリエステルサテンはアイロンが難しい素材の一つです。
多分家庭用のアイロンだと、アイロンをのせただけでテカリが出てしまうと思います。
なので当て布(シルクオーガンがお勧め)を使って、さらには裏からキセアイロンの方法でかけるのがきれいに見えます。
ただ、これも全てのサテンに言えるかというとそうでもなく、シルクのダブルサテンなどで肉のあるサテンなどはデザインによっては割り仕様が良い場合もあるで・・・。
レディースのブラウスなどに多く使われる代表的な仕様の一つです。
スカートやパンツなどにも使われることが多く、ロック片倒し始末は洗濯にも縫い代のヨレが出難い利点があるなど洋服の仕様では多く使われています。
ロックからスリットの仕様の縫い方は最後にページのリンクを貼っておきますのでコツなど知りたい方は見て下さいね。
裏ナシのジャケットに多く見られる仕様です。
ロックミシンの部分が一つ折れてロックで縫った部分が見えない状態で縫い上げます。
パイピング始末より縫いの手間がかからないので売値や工賃の関係から選択される仕様だったりします。
折り伏せ縫いはステッチが表に出る縫い方なので基本的にカジュアルなデザインに多く使われる仕様です。
ステッチで縫い上げてあるので丈夫で洗濯に耐えることもあって
メンズのワイシャツの多くが折り伏せ始末になっています。
そして洋服の着脱どき裏まできれいに見えるので、こだわりの仕様でブルゾンなどに多く使われています。
5、パイピング始末
これも、着脱どきのこだわりの一つの仕様です。
ジャケットやコートを脱いだときに美しい裏仕様でわざと目立つ配色でパイピング始末をすることが多いです。
ただこれも、薄い色の生地の場合はパイピングの色が透けて見えるのでそこまで考慮してパイピングの生地を決めて下さい。
基本的に透ける素材に多く使われる仕様です。
そしと裏ナシ仕様のポケット周りに袋縫い仕様が多く使われます。
下の写真はシフォンという透ける素材(深緑)とポリエステルプリント(レンガ色)を重ねて作ったスカートです。
このスカートの仕様で特徴的なのが、ファスナー付けです。
透けるシフォンは袋縫いです。そして透ける生地に切り込みを入れたりファスナーは直接付けたりしません。
かなり上級仕様になるのですが工程がシフォンのファスナー部分を三つ折で縫ってからシフォン脇を袋縫い、下のポリエステルにファスナーを付けてシフォン生地をまつって仕上げてあります。
このように素材やデザインに合った仕様で、よりきれいに仕上げてクオリティーをあげていきます。
レディースの既製服の仕様は基本的に手仕事をいかに減らしてミシンで縫い上げるかの流れなのですが、縫いにも流行があって研究の末にジャケットのどんでん始末(裏地とひっくり返す始末)は昔は裾を開けておいて、次は袖の中を開けて、現在は裾見返しが斜め上げになってベントなどがあれば何処も開けずに返していくのです。
ジャケットを縫ったことの無い人には訳の解らない話ですよね。
そんな流れから付加価値をつけるために、ん十万もするスカートのファスナー付けが星止め(手縫い)仕様指示で縫ったこともあります。
ミシンが普及していない時代はどれもこの星止めでファスナーは縫われていたみたいなのですが・・・。
これらの話からも判るかと思うのですが、縫いの手間で服のグレードが決まっているというのが一般的な洋服の縫い代の仕様の考え方です。
なのでロック始末よりロックコバ始末、ロックコバより折り伏せ縫いや袋縫い、さらにはパイピング始末と縫いの手間が商品の値に反映されていることが多いのです。
ただ、これも国内製品に多く見られることで、
外国のブランドは、ん十万する洋服でも簡単にロック始末でデザイン重視だったりします。
国民性でこだわる部分が違うのが洋服にも見られるのですよ!('-^*)/
それに国内製品でもデザインによってはロックの方が軽く仕上げって良い場合は高い商品でも使われますので一概にはいえないのですが・・・。
そのいい例が下のスラッシュあきです。
この縫いの手間、グレードからで初心者さんが意外と知らないスラッシュあきを次のブログでは書こうかと・・・。
縫い方の説明をする写真をまだ撮っていないので、また少々お待ち下さい。(><;)
上で説明した縫い代の始末のページのリンクを貼っておきます。
縫い方を知りたい方はご覧下さい。
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