小出裕章先生:原子力をすすめる意図は要するに核兵器を持ちたいということだと思います | 私にとって人間的なもので無縁なものはない

小出裕章先生:原子力をすすめる意図は要するに核兵器を持ちたいということだと思います



自由なラジオ Light Up! 011回
「 国を愛するっていったいどういうこと? 右だ左だとレッテルを貼って人を選り分けることこそ愚かでしょう! 」

https://youtu.be/35iiqMc3I6o?t=18m5s
~18分5秒~第011回 Light Up!ジャーナル
京都大学の原子炉から高濃縮ウランを撤去することになった経緯

http://jiyunaradio.jp/personality/journal/journal-011/
2016年6月14日

おしどり:
今日はですね、伺いたいことなんですけど、ワシントンで4月に開かれた核安全保障サミットで、安倍総理は京都大学原子炉実験所の学生訓練用の原子炉「京大臨界集合体実験装置」で使用してきた高濃縮ウランを全量撤去する方針を明らかにしました。

アベ原発推進を明言

小出裕章さん:
はい、私がいた京都大学原子炉実験所にはKUR、つまり京都大学原子炉という、いわゆる原子炉ともう一つ臨界実験装置という、ほんとのおもちゃのような小型の原子炉があったのです。KURという原子炉の方は1964年から動き始めましたし、臨界実験装置というほんとに小ちゃな原子炉の方は1975年から動き始めてきたのです。それぞれ、いわゆる研究用に全国の大学の研究者が使う、或いは学生の教育に使うということでやってきたのですが、その燃料というものが、93パーセント高濃縮ウランというものを使っていました。
KUR炉室
この番組をお聴きのリスナーの皆さんは多分ご存知だと思いますが、ウランというものには2種類あるのです。核分裂をする能力を持っているウランと、核分裂をする能力を持っていないウランというのが2つありまして、核分裂をする能力を持ってるウランは出量数が235、能力を持っていないものは出量数238というそういうウランなのですが、天然のウランを掘ってくると、核分裂をする能力を持ってるウランがが0.7パーセントしかないのです
天然ウランの存在状況
ですから、その全体のウランのうちのわずか140分の1、或いは150分の1しか核分裂する能力がない。つまり“燃えない”ということなのです。
核分裂
もともとそのウランというのは、原爆を何とかつくれないかという事で利用されたわけですけれども、全体の中で0.7パーセントしか燃えないというそんなウランだったら、原爆できなかったのです。火を点けるためには燃えるウランを集めてこなければいけないということで、その操作を濃縮と私達は呼んでいるのですが、その操作が物凄く大変だったのです。
でも、米国は原爆をつくりたいということで、必死の努力をしたあげくに原爆をつくりあげたわけですね。要するに、燃えるウランをとにかく集めるという作業をやって原爆をつくりました。
リトルボーイとファットマン
通常、私達の常識で言うと、原爆をつくる為には燃えるウランの濃度が90パーセントを超えていないといけないというのが、私達の常識なのです。それで、うちの原子炉、或いは臨界実験装置というので使っていたのが93パーセント高濃縮ウランというもので、つまり、すぐに原爆がつくれちゃうというそういう材料を使ってきたのです
原子力発電と原子爆弾の違い
米国という国もそういうウランを他国に渡しておくというのは、やはりまずいということにある時点で気がつきまして、もともと米国がうちの原子炉もつくって、燃料と一緒に提供してくれたわけですけれども、やはり日本という国に高濃縮のウランを渡しておくことはもう止めようということで、原子炉用の高濃縮ウランはもうとおの昔にもう日本にくれなくなったのです。
世界的な核物質の最小化への貢献に関日米共同声明
うちの原子炉実験所の原子炉は、確か2000年頃だったと思いますが、要するに、燃料が無くなってしまって止まってしまったんです。原子炉そのものが。それで、原子炉の方は、燃料がなくて止まっているのでは困るということで、20パーセント濃縮ウランでも動くように、
若干の改造をしまして、ようやくまた再稼働をさせたということだったのです。そしたら、福島の事故が起きまして、もう一度審査をやり変えない限りは動かしてはならないということで、また止まっていたわけですが、そちらの方は、一応はクリアをしたということになったわけです。ただ、臨海実験装置の方は、ずーっとまだ93パーセント高濃縮ウランというのを使い続けてきていたのです。そちらの方は、やはり米国が「もうこの際だから返せ」ということで、たぶん今度の合意になったのだと思いますし、京都大学としては93パーセントではなくて、例えば20パーセントの濃縮ウランにして、臨海実験装置も動かすというそういう選択をしたのだと思います。

おしどり:
なるほど。なんか凄く、その実験装置の歴史がよく分かりました。ありがとうございます。
あと小出先生に伺いたいんですけど、京大の高濃縮ウラン93パーセントでも20パーセントでも、そのウランは、テロリストとかに狙われる危険っていうのはあるんでしょうか?

核セキュリティ
※核セキュリティ(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/n_s_ne/page22_000968.html

小出さん:
皆さんが、そのテロリストという人をどういう人にイメージしているか、私はよく分かりません。私自身は、テロリストと名付けられるような人達が原爆をつくって、それを使用するという風には私は思っていないのです。ただし、米国であるとか日本であるとか、いわゆる国家として原爆、米国なんか実際に持ってるわけですし、実際にもう使ったわけですけれども、そういう国の方から見ると、テロリストというようなものが原爆を持ったら大変だということを恐れるということは勿論あるわけで、テロリストに原爆材料を獲られないように、何としても管理をしなければいけないということで、ずーっとやってきているわけです
米国だったら、原子力発電所は軍隊が守ってるというそんな状態になっているわけですが、日本の場合にはこれまでの所、原子力発電所を自衛隊が守るということもないわけですし、京都大学原子炉実験所の原子炉を自衛隊が守るということも実際にはまだないのですね。

原子力関連施設警戒隊
原子力関連施設警戒隊 - Wikipedia

でも、米国の側からすれば、「とにかくもっと厳しく管理をしなければいけない」と日本に言ってきたわけですし、日本も着々とテロリストというものは危ないからというそういう理由で、原子力発電所であるとか京都大学原子炉実験所の警備というものをどんどんどんどん強化してきたのです。京都大学と言えば大学ですから、本当であれば、一般市民だって自由に大学校内に入れるというのが本来の在り方だと私は思うのですけれども、京都大学原子炉実験所は、もう校内に普通の人が立ち入ることすらが物凄く難しい。職員であっても、守衛が正門を入る時に身分証明書を見せない限りはもう校内に入れないという。それ程厳しい警備にどんどんなってきたのです。だから私としては、大学という組織がそんなような事になるのは私は反対ですし、原爆材料がある、そして、それをテロリストが狙ってるという、その理由で大学の自由というようなものを拘束してくるというようなことに反対ですので、もう高濃縮ウランなんて、むしろ持たない方がいいんではないかと私自身は思ってきました

おしどり:
わぁほんとだ。おっしゃる通りですね。私もほんとに大学は自由な所であって欲しいし、あとそれとアメリカが原爆を落とすのはテロではないけど、なんか非政府組織であればテロですっていうのは……。そういう考え方ですよね? ほんとに。

小出さん:
はい。極めておかしなレッテルの貼り方だと私は思ってきました。

おしどり:
ほんとだ。おっしゃる通りだと思います。でも、小出先生ね、この間、伊勢志摩でサミットがあった時に、福島第一原発はその期間中、作業を停止したんですね。

小出さん:
そうですね。

おしどり:
それについて、いろいろちょっと取材をしたり調べていったんですけど。日本の核セキュリティというのは、元々とても甘いということを原発事故前から指摘されていたということを知りまして。それで、今、福島第一原発では毎日7千人程度の作業員の方々が作業されてますけど、とても身分証明が割と甘いと言いますか、という問題がまだ続いていることを取材で知って驚いたんですね。昨年、原子力規制庁で、各セキュリティに関する検討会があったんですけど、もうちょっと作業員の方が作業の際の身元調査をするべきだというような提言があったんですけど、まだ反映されてない時期にサミットがあったので、ちょっと警戒したのかなあと思ったんですけど。あの小出先生、私、作業員の方に「どのような身元調査があったか?」っていうのを取材して、ちょっと驚いたんですよ。

自己申告で、
・「あなたは反社会的組織に属していますか?」→「はい or いいえ」
・「あなたはテロリスト過激派に属していますか?」→「はい or いいえ」

ですよ。これ。
「はい」って丸する人いないよねえ(笑)。さすがに私、それなんか怖いなあと思って。それは驚きました。

小出さん:
はい。ただ国家の方から見ると、その原爆材料をテロリストに渡してはいけないという風に強く思ってるわけだし、それを一方では口実にしながら、人々を管理を強化していくという風に、もうずーっとそうやって狙ってきてるわけですからやるでしょうし、人々の方から見れば、なるべくその国家の規制を逃れるような方法というのをやはり考えておかなければいけないと私は思います

おしどり:
おっしゃる通りですねえ。その身元調査に最近付け加わっているのが、「あなたは政治に対して批判的な心情を持っていますか?」→「はい or いいえ」が付け加わったんですね。だから、本当になんて言うか、国策に反対するとテロリスト扱いとほぼ同じなんだなっていう風に、その身元調査を見ても思いました。

小出さん:
そうですね。どんどんどんどん網が厳しくなってると思います。

おしどり:
なるほど、分かりました。ありがとうございました。

小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。







http://youtu.be/R5Ni4n13zP4

2014/02/03 米国からのプルトニウム返還要求「明らかな政治的メッセージ」~岩上安身による京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏インタビュー

【IWJ特報!127+128号】原発と核兵器技術の保有はコインの裏表~京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏インタビュー


日本国憲前文・第九条
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

電力は戦力!

原発逆さ地図
原発逆さ地図

$私にとって人間的なもので無縁なものはない
ヤマサクラ61演習の「敵の最も可能性の高い行動方針」を示した米軍作成の図。東京占領をめざす部隊OSC―2は新潟から、大阪占領を目指す部隊OSC―1は金沢と鳥取県米子市から上陸する想定になっています
ヤマサクラ61
アメリカの考える戦争計画→主戦場は日本列島
ヤマサクラ61若狭湾は14基もの原発銀座

原発への戦争やテロでの脅威について 小出先生

安倍晋三 原発やめるわけにはいかない!

そんな原発依存症のあなたにはこれをどうぞ( ̄ー ̄)
家庭用原子力発電機「チュルノブイリ-1型」
※これはパロディです。実際には販売していません(^ゑ^)

プルトニウムの場合 (「フランシーヌの場合」の替え歌)

https://youtu.be/qo_pxVzZXCE

日刊ゲンダイ 2014年5月27日版
戦争想定の首相のアタマ異常だ 日刊ゲンダイ

日刊ゲンダイ 2014年5月28日版
恐ろしい国の行方 首相が正常でない

戦争のつくりかた

https://youtu.be/cUGu73hnjdY
What happens before war?
http://noddin.jp/war/

日刊ゲンダイ 2016年5月18日版
トランプ安倍ヒトラーに共通する強い国への扇動_1



小出裕章 原発と憲法9条
(遊絲社)
http://www.yuubook.com/center/hanbai/syoseki_syousai/syousai_genken9.html
小出裕章 原発と憲法9条未来は、私たちの手の中にある

「原子力の問題というのは、単なるテクニカルな問題ではないのです。憲法9条の理念や、私たちがどうやって生きていく、どうやってこの国を作っていくかという、非常に根本的な問題ともリンクいている。」
この国が原子力をすすめる意図はどこにあるのか。要するに核兵器を持ちたい、こういうことなんだと私は思っています。そう思いながら・・・・・・・・・・いや、それを知りながら、何の抵抗もしないまま生きることは、私には出来ません。
歴史を見つめ、事実と向き合い、未来につなげる。
一貫して原子力に反対してきた小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)の、渾身のメッセージ!

目次より
●「原爆・原発と憲法9条」
●「私が原子力に反対をする根本的な理由」(4月13日『FMわぃわぃ』インタビューより)
●「どんなに苦しい事実であっても」(10月31日『FMわぃわぃ』インタビューより)


小出裕章氏「原爆・原発と憲法9条」日本基督教団  堅田教会
質問応答

http://dai.ly/xk4ofc
2011/07/27 堅田9条の会例会



○●○●○



首相「利用目的ないプルトニウム持たない」発言を考える
(東京新聞【こちら特報部】)2016年4月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016040502000125.html
 ワシントンで開かれた核安全保障サミットで、安倍晋三首相は「日本は利用目的のないプルトニウムは持たない」と力説した。使わない三百三十一キロを米国に移送中で「模範国」だという。だが、まだ四十七㌧超を保有している。目的は原発での利用だが、めどは立たない。米国はあまりのコストの高さから、プルトニウムを原発の燃料として使うことを断念し、「ごみ」として廃棄する方針だ。日本も廃棄の道を選んではどうか。
(鈴木伸幸、佐藤大)

原発で使うめど立たないのに…

利用目的ないプルトニウム持たない発言を考える_1

「MOX燃料化」米、事業凍結へ

 太平洋上を航行中の輸送船が、米国で大問題となっている。
Pacific Heron and Pacific Egret
積み荷は、茨城県東海村核施設が一九六0年代から借りていたプルトニウム三百三十一キロ。核兵器に転用可能で、テロに悪用される恐れなどから返還が決まったが、受け入れ先を巡ってもめている。
 米エネルギー省が受け入れ先としたのが南部サウスカロライナ州の「サバンナリバー施設(SRS)」。ここでは、すでに一二・八トンのプルトニウムを中間貯蔵中で、ニツキー・へイリー州知事は「最終処分場が決まらない限り、これ以上、受け入れない」と反発した。
 SRSで建設中のMOX燃料工場が、話をややこしくしている。MOXは「MIxed OXide」の略称で、二酸化プルトニウムと二酸化ウランを混ぜた「混合酸化物」のことだ。
 冷戦終結後の二000年、米国はロシアと核兵器削減に合意した。米国は、核兵器のプルトニウム三十四トンを原発で利用できるMOX燃料に加工すると決め、O七年に工場建設が始まった
 プルトニウムが再利用されれば、SRSが最終処分場になることはない。だが、石油価格が下落する一方、工場建設費が高騰した。米ニューヨーク・タイムズ紙によれば、約十億ドル(約一千百億円)のはずの建設費は膨らみ、四十五億ドルが投入された。関連事業を含め、完成には三百億ドルが必要とされる。オバマ政権は二年前に凍結を打ち出し、今年二月には一七会計年度(一六年十月~一七年九月)予算案に建設費を盛り込まないと明らかにした。
 米政府高官は「最初のMOX燃料が四○年になっても作れないぐらい建設が遅れている」と理由を説明しているが、最大の障害はそのコストだ工場建設費だけでなく、MOX燃料を作る経費が年間八億~十億ドルかかるという
 エネルギー省が示したのは「不純物と混ぜて地下施設に貯蔵する」という代替案だ。三億~四億ドルで済むという。AP通信によれば、プルトニウムを不純物と混ぜる処理をして、核廃棄物を貯蔵するニューメキシコ州の地下施設に移す方針だという。
 MOX燃料工場の建設は中止するが、SRSで不純物と混ぜる処理をする。できあがった核廃棄物を他州に移送すれば、知事も納得するという想定だ。
 ただ、建設中止は雇用に直結する。同州選出のリンゼー ・グラム上院議員ら共和党の実力者は「国際公約はどうなる?MOX燃料化に経費がかかりすぎるというのは誤った試算だ」と強硬に主張する。共和党が多数派を占める連邦議会で、対立が激化している。
 核廃棄物としてニューメキシコ州に移送することにも問題がある。地下施設では二年前に放射能漏れ事故が発生し、いまは一部しか稼働していない。地元紙によれば、住民感情もあって、新たな受り入れには紆余曲折がありそうだ。

利用目的ないプルトニウム持たない発言を考える_2

割に合わぬ費用/工場建設 何度も延長

なぜ再処理に固執?

 日本では青森県六ケ所村で、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場の建設を一九九三年から始めたが、トラブル続きで竣工時期はどんどんずれ込み、現在はニO一八年の予定。日本原燃によると、建設には当初見込みの三倍近い約二兆二千億円を費やした
 再処理で取り出したプルトニウムを原料にMOX燃料を作る工場は現在、基礎工事中。進捗(しんちょく)率12%の段階で、費やした額は約二千百億円。当初見込みの千二百億円を既に超えた。
 米国同様、コストがのしかかる。一方で、平和利用しなければ、核兵器への転用という疑いの目を向けられる
 核安全保障サミット直前の三月二十八日、原子力資料情報室など四つの市民団体は、核燃料再処理工場の運転の無期限延期を求める公開書簡を安倍首相に送った。差出人には、外国を含む約百八十の核問題に取り組む専門家や団体も名を連ね、「隣国は、なぜ、日本が核兵器に直接利用できる物質を大量に分離しているのかいぶかっている」と指摘した。核兵器を持たない国で、四十七トンものプルトニウムを保有するのは日本しかないからだ
 だが、返事すらなかった。原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「サミットでの『利用目的のないプルトニウムは持たない』発言は、従来の方針を示したにすぎない。今後、どのようにプルトニウムを減らすか展望を示さないで、発言しでも意味はない」。二O年東京五輪招致の際、東京電力福島第一原発から出る汚染水について安倍首相は「完全にコントロールされている」と宣言したが、「それよりひどい」と憤る。
 「移送は昔から議論していた話で『協力しましたよ』というポーズにすぎない」と批判するのは、勝田忠広明治大准教授(原子力政策)だ。「核保有国も日本のプルトニウム保有に懸念を持ち続けているが、自分たちに跳ね返るので、会合で踏み込んだ発言はなかった」とみる。サミットでは「テロ対策などの問題ばかりが議題になった」として、プルトニウム削減に関する議論が活発化しなかったことを残念がる
 福島第一原発で事故が起きる前、国内の原発で消費したプルトニウムは約二トン。平和利用の中心的な位置付けだった高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)は頓挫した。
 世界初のMOX燃料を全炉心で使う大間原発(青森県大間町)も完成は先送りされている。二二年度ごろの運転開始を予定するが、対岸の北海道函館市が建設中止を求めて提訴するなど市民の反発は強い。
 ちなみに、六ケ所村の再処理施設が動きだせば、年間八トンのプルトニウムが生産される。だが、原発で使えなければ、世界からの疑念が強まらないか
 再処理事業を巡っては、今国会で「再処理等拠出金法案」が審議中だ。これまで再処理車業に必要な資金を電力会社が積み立てていたが、法案成立後は、新設する政府の認可法人に拠出を義務付ける
 電力小売り自由化により、価格競争で原発を持つ電力会社の経営が悪化した場合、再処理費用を出さなくなることが懸念されるからというが、前原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎長崎大核兵器廃絶研究センター長は「需要がなければ再処理しない、再処理のぺースを落とすなど柔軟性を持たせることが重要。拠出金になれば、必ず再処理するという前提になる恐れがある」と危倶している

利用目的ないプルトニウム持たない発言を考える_デ


<調査報告 プルトニウム大国 日本>
第2回 「核燃料サイクルの夢と現実」
1993年5月23日

http://dai.ly/x2fixkf
資源小国・日本は「使用済み燃料」のプルトニウムにエネルギー自立の夢を賭けてきた。しかし、先進国の中には「核燃料サイクル」の早期完成を断念し、別の路線を選択する国も出始めた。「核燃料サイクル」を回す鍵を握るプルトニウム利用技術の課題を、イギリス・フランス・ドイツからの報告をまじえて、多角的にあきらかにする。


2012年6月18日
「不滅のプロジェクト ~核燃料サイクル 迷走の軌跡~」

http://dai.ly/xrpkhj
日本の原発から出た使用済み燃料は1万5千トン。行き場のないまま原発敷地内などに保管されている。
ゴミである使用済み燃料の処理方法が無いまま稼働を続ける原発は、トイレの無いマンションと揶揄(やゆ)される。この問題を一挙に解決する方策として模索されてきたのが「核燃料サイクル」だった。
その夢のサイクルが、福島原発事故をうけて原子力行政が問い直される中、根本的に見直されようとしている。将来に向け、私たちはいまどのような選択をすべきなのか。それを考える前提として核燃料サイクル60年の足取りを知っておくことは必要だ。
日本では、原発開発が始まった当初から「核燃料サイクル」が目標にされた。
使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再び燃料として利用する「核燃料サイクル」は、資源小国のエネルギー問題と、放射性廃棄物というやっかいなゴミ問題を一石二鳥で解決してくれる夢のプロジェクトとしてスタートした。
サイクルの要となる高速増殖炉は、プルトニウムをウランと混ぜて燃やし、使用前よりも多くのプルトニウムを作り出すことができるというもの。これを確立することができれば、理論上、千年はエネルギー問題から解放されると期待されてきた。
この「核燃料サイクル」の計画からその後の経緯までの内幕を、赤裸々に記録した録音テープがある。
日本の原子力政策を中枢で担い続けてきた、政・官・財・学の中心人物が、非公式で開いていた「島村原子力政策研究会」の会合を録音したテープだ。国家プロジェクトとして始まった核燃サイクルがさまざまなう余曲折の中で迷走していった過程が語られている。
日本の核燃サイクルは「トリウム」という軍事利用できない燃料を使ったものが研究された。しかし、実現を急ぐ政界の意向から英米から既成技術を輸入することに方針転換された。
英米で開発されていたのはトリウムではなく「プルトニウム」を使った核燃サイクルだった。プルトニウムは核兵器の材料になる

1960年代に中国やインドでの核開発に脅威を感じたアメリカは、70年代に日本の核燃サイクルに待ったをかけてきた。この圧力は日本に「焦り」と「意地」を生じさせ、冷静な開発を困難なものとしていった。
計画開始から半世紀以上が経過した今、まだ核燃サイクルは実用化されていない。そして使用済み燃料の問題は依然として解決していない。「一石二鳥」どころか「二兎(にと)を追う者、一兎(いっと)も得ず」の状態になっている今、核燃サイクルという夢を追ったプロジェクトの経緯を検証し、問題の所在を明らかにする。


特集「原子力政策の“落とし穴” 高速増殖炉『もんじゅ』真の姿とは!?」

http://dai.ly/xzyi3c
日本が「核燃料サイクル」にこだわり続ける理由は、「使用済み核燃料=資産」という電力会社の経営問題と、「潜在的な核武装」という意味合いがある。田坂広志