父の自死からの記憶(自死遺族)

父の自死からの記憶(自死遺族)

2009年6月、父親が自死しました。現在進行形で悩みは尽きないけれど、少しづつでも出来事や気持ちやその変化を記録に出来ないかと思い、書きはじめました。

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父の死は約2年前になります。
ここでは最近の様子はどうかを記録したいと思います。


 最近は、仕事も前の職場ではありませんが、全職場の上司の意向で違う現場を紹介してもらえ、
セーブしつつ通えています。

 笑えるようになったし、テレビも見れる。
 たまに波があり、全く眠れない日も月に1、2度はありますが、それ以外は眠れるし、食べれる。
 だいぶ、落ち着いてきました。普通の事が、普通に出来るようになった。

 ただ、友人知人、新しい職場などでは、父の自殺、自死については全く話しをしませんし、
友人の多くとまだ距離を置いています。
 昨今は、不況が長く続き、友人でも生活に追われたり、私の抱える悩みが深いためにおいそれと
話ができていない状況です。
 良いとか悪いとかではなく、この状況は今はこれでいいと感じられるようにもなりました。
 とにかく、人によってはとても不快になったり、どう対処したらいいかわからなくて混乱して、
不用意な言動をしがちですから、今はこれでいいや、と。

 そういった状況ですが、楽しい時は楽しいし、ふとした瞬間に父を想って涙が止まらなくなる時は
一晩中止まりません。
 ある程度、日常生活に支障がない程度、なすがままに出来るようになりました。

 ただ、強く一歩前には進めていない。進まなくても良いのでしょうけれど、人生を例えば一本の道に例えるならば、進んでいたら壁にぶちあたってしまい、道を進みたいけど正面からはとてもじゃないけど生けそうにないので、荒野だけども壁沿いに横に伝ってみて、どこか進めそうなところをちょっとづつ進む。。。 
 そんなことの繰り返しで暮らして行っている気がします。


 今のところはそんなところなのです。
*出来るだけ細かく思い出して書いています。直接的な表現や不謹慎な表現もあるかもしれません。
ご注意下さい。



















 電車ではどうだったか、記憶が無いです。

 とりあえず実家に着くと、蜂の巣を突ついたとか、クモの子を散らすという表現がありますが、
とにかく親戚に近所の人で家が急ピッチで掃除されているところでした。
 時間は朝の9時か10時くらい。

 実家は、母親が難病を患っているために(私が小学生半ばの時から)、あまり整頓された家ではありませんし、よくある田舎の母親の気質らしく、物を買いだめするので普段から片付いてません。
 ヒドい有様でした。

 特に、玄関入ってすぐが吹き抜けで二階までの階段もありますが、そこが父の最期の場所だったこともあり、とても綺麗に掃除されていました。今朝、人が一人そこで死んだなんて思えないくらいに。。。

 ここから片付けの人は多分常に5~10、15人くらいはいたでしょうか。
 我が家は、工場地帯の都市部で育った夫に奇妙がられるくらいの田舎体質の土地にあります。
こっちの河からこっちの河まで全員同じ名字だった土地です(今は余所の方々も増えましたが)。  
父親(享年62)の世代から一世代前なら、葬式は村総出でやるくらいです。
 プライバシーとか、密葬なんて言っていられない。。。あっけに取られました。

 訳も分からずに、よくきたよくきたといろんな人に言われ、亡き祖父の弟の親族の親しい伯母さんとお姉さんが、抱きついて慰めてくれました。良く相談に乗ってくれていた伯母さんとお姉さんでした。
 そこから私は涙腺が開きっぱなしだったと思います。

 親戚が一同居るくらいの騒ぎの中、洋間に通されました。
そこには、父親が横たわっていました。首にはシルクのチョーカーが巻いてあり、身体に付いた損傷の後を隠そうとしていました。
 表情は眠っているように穏やかで、、、苦しんだ様子は無さそうな顔をしていました。
 夫と二人、父の手に自分の手を重ね、しばらく感情に任せていました。
 夫が背中に静かに手を添えていてくれているのを覚えています。

 とにかく、悲しかった。
 信じられなかった。
 生き返らないかと強く思った。
 ごめんねと何度も言ったし、思った。
 信じられなかったし、信じたくなかった。
 でも、目の前で確かに息もしていなければ、暖かくもない父が居る。
 

 この日、もう一つ信じられない事が目の前で起きました。
 父には弟がおり、結婚して娘がいます。自分からは年下の従姉妹になりますが、その母親の伯母さんが娘さんと洋間に入ろうとした時に放った一言。
 忘れられない。忘れたくてももう無理。

 『○○家(私の実家)の血なんて継ぐもんじゃないよ!!!』

 そう娘さんに大きな声で言ってました。
 私の目の前で。。。

 伯母さんは、結婚の時に条件を出して嫁に来た人です。
 家業は絶対手伝わない。姑の世話はしない。
 この、父の死を契機に、大人の事情が次々と明かされて行きます。
 今でも思い出す。映像付きで。洋間に続くあの廊下の、あのドアの前で。

 それまで、いい人だと勝手に思い込んでいた叔母が、私の中で鬼叔母に変わった瞬間でした。