乳がんステージⅣの5年生存率は低い。10年生存率となるとなおさらだ。
母のがん宣告直後は、この数字を目にするだけで涙が溢れた。でも今は、とても冷静に受け止めている自分がいる。
考えてみれば、がんではない人だって、5年後10年後も生きている保証なんてどこにもない。命は有限なのだ。
そして、何といっても今の医学は日進月歩。遺伝子解析によって薬を選択する精密医療(プレシジョンメディシン)の研究も進んでいる。まさに今、がんと戦っているがんサバイバー達は、多くの方が過去の数字を塗り替えていくに違いないと思えるようになった。
母は、今13歳の孫娘(私の娘)が成人するまで生きることを目標にしている。あと7年。そのことを初めの主治医に告げたとき、当時の主治医は、「うーん。それは難しい。」と言ったそうだ。母は失望した。私はその話を聞いて無性に腹が立った。主治医は正直な感想を伝えただけかもしれないが、医師から生きる希望を否定されたら、患者の絶望はどれほどのものか、医者なら推して知るべきだ。「大丈夫」なんて軽々しく言えないことは分かっている。でもせめて、「寿命は誰にも分からない。」と言ってほしかった。
現実から目を背けようとは思わない。
でも、生きていくには、希望はどうしても必要だ。厳しい現実の前で、何を希望にしていくか。そこが一番難しい。人間力が試される正念場だと思う。
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