先日、黒薔薇の顔合わせがあった。

いよいよ楽しみにしていた稽古が始まる。

さわりだけ、読み合わせをした。

ボクの作りたい世界に、命が宿り始めた、気がした。

今まで文字だったものが、鼓動を始める。

願わくば、これからの稽古で健やかに成長を遂げた、

このあまりにも愛おしく切ない純粋で真直ぐな物語が、

何かしら、お客様の琴線に触れますように。

さて、ボクはたまに、

「どうやってお話を考えているの?」と聞かれることがあります。

まあ、大抵は今まで生きてきた中で培った引き出しから色々引っ張り出して、

切って張ってこねくりまわして……ということになるのだが、

こと、舞台の脚本となると、特に黒薔薇の場合となると、

確信を持って言えることがひとつ、ある。

物語を生み出させてくれる『女優』との出会い、である。

というとなんだか運命の出会いみたいだが、確かに、運命である。

白紙のWordに物語が生まれてしまうんだから。

そしてボクが言うとなんだかとても下衆い話に聞こえるが、

どんなに言ったって言い訳くさくなるのはわかってるんだが、

もっと、ピュアな、アレだ。

いやマジで。

作家ならわかってくれると思うんだけどなぁ、

「この俳優のために、この物語は生まれた」っていう感覚。

そして、今回は特にそれを強く感じている。

元々、ボクには太田美女図鑑に代表されるように、

女優にレッテル貼りをする習性は、ある。

だがそれ以上に、彼女たちがああだったらな、こうだったらな、という想いが芽生えると、

それは、物語に、なる。

酒井香奈子さんと榎あづささんとの出会いは、ボクに物語をもたらした。

ふたりと知り合ったタイミングはそれぞれ別々なのだが、

ふたりが仲良しだと聞いて、

彼女たちの芝居を見て、

物語が生まれた。

この感覚って、もうね、愛とか恋とか、そんなものより遥かにプラトニックな、

ボクにとっては創作における最も大切な気持ちなんだ。

なんか書いててやっぱり自分が変態のような気がしてきた。

でも生まれてきた作品には、嘘はつけない。

溢れ出てくるその衝動は、止められない。

そしたらもう、やらねばなるまい。

ボクは、その世界観を構築するために必要な俳優を厳選していく。

今までだってそうなんだが、

しかし今回に至っては、ホントにこれ以上ないってくらい、

最高の仲間たちが集ってくれた。

無論だが、今回の登場人物たちは、

今回の出演を快諾してくれた俳優陣、

彼等、彼女等、でなければ間違いなく生まれえぬものだった。

あとは、真直ぐ、突き進む。

世界を、創造する。

しっかりと練り上げて、最高の舞台を作る。

それだけだ。

この物語が、多くのお客様の心に届きますように。






【脚本・演出】
黒薔薇少女地獄vol.4
『緋色、凍レル刻ノ世界、永遠』

脚本・演出:太田守信



少女は右手にカッターナイフを握ったまま、動かなくなった相手と唇を重ねた。
その瞬間を永遠にして、凍らせるように。
だが15年の刻を経て、時間は再び溶けだしていく。
2000年と2015年、4人の少女、ふたつの物語は今、重なり合う……。



2015年11月24日(火)~29日(日)
劇場:SPACE雑遊

CAST

酒井香奈子
榎あづさ
松本稽古
星秀美(レティクル東京座)
橘麦

牛島僚太
シミズアスナ
高橋杏奈(ラビット番長)
浜田真衣
深谷晃成(第27班)
梁稀純(どろんこのキキ)

――声の出演――
小泉豊



タイムテーブル

11月24日(火) 19:30
11月25日(水) 19:30
11月26日(木) 19:30
11月27日(金) 14:00 / 19:30
11月28日(土) 13:00 / 17:00
11月29日(日) 13:00 / 17:00



前売り/当日 3500円


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