かくれんぼで、倉の隅(すみ)にもぐりこんだ東一(とういち)君がランプを持って出て来た。
それは珍らしい形のランプであった。八十糎(センチ)ぐらいの太い竹の筒(つつ)が台になっていて、その上にちょっぴり火のともる部分がくっついている、そしてほやは、細いガラスの筒であった。はじめて見るものにはランプとは思えないほどだった。
そこでみんなは、昔の鉄砲とまちがえてしまった。
「何だア、鉄砲かア」と鬼の宗八(そうはち)君はいった。
東一君のおじいさんも、しばらくそれが何だかわからなかった。眼鏡(めがね)越(ご)しにじっと見ていてから、はじめてわかったのである。
ランプであることがわかると、東一君のおじいさんはこういって子供たちを叱(しか)りはじめた。
「こらこら、お前たちは何を持出すか。まことに子供というものは、黙って遊ばせておけば何を持出すやらわけのわからん、油断もすきもない、ぬすっと猫(ねこ)のようなものだ。こらこら、それはここへ持って来て、お前たちは外へ行って遊んで来い。外に行けば、電信柱(でんしんばしら)でも何でも遊ぶものはいくらでもあるに」
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