アンコール昭和外伝⑤
【実録番長への道Ⅴ】
秀二郎と3年番長グループのにらみ合いが続く。
3年番長『テメェ、なめやがって!』
3年番長の怒りはピークに達していた、それはそうだろう、つい最近まで小学生だったガキに番長が開き直られたのだ。
一方、秀二郎は震えていた。
友A『秀ちゃん、大丈夫?寒いの?』
秀『おいおい、これは武者震いというんだよ!』
みんなが嘘だと感じていた……、当然嘘だった。
恐ろしさのあまりに足の震えが止まらないのだ。
奇跡か神風でも吹かないかと心の底から思っていた。
その時、
『バリバリ!バンバンバババンっ!パラリラっ!』
秀『ん?雷?ん?ラッパ?えっ?』
大きな旗をなびかせた暴走族の集団が突っ込んで来た!
暴走族のリーダーと仲間たち、悪さの次元が違う集団だった。
その内の一人が番長に声をかけた。
暴A『おい、イガグリ坊主、何してんだお前?』
3年番長『どうも先輩お久しぶりですっ!いやぁ、新入生が意気がってるもんですからシメようかと…』
秀『うっ…』
(心の声)
『マズイ、番長だけでもイヤなのに、筋金入りが現れた。確実にマズイ…、しかも先輩後輩の間柄、俺は一体どうなるんだ…。しかもイガグリ?この番長はイガグリと呼ばれてたのか。』
秀二郎は恐怖と同時にイガグリにツボり笑いを堪えるのにも必死だった…今笑えば確実に半殺しにはなるだろう、しかしイガグリ…。
確かにこの番長、坊主頭でイガグリみたいなのだ。
秀『クっ、ぷっ、…』
死にそうだった。
恐怖と笑いを堪える事で、秀二郎は涙していた。
とその時、暴走族のリーダーがふと気付く。
リーダー『秀二郎?秀二郎だろ?お前何してんの?』
秀『ん?おー、ふとし~!そっちこそ何してんの?』
一同唖然だった…。
中学一年生の秀二郎が、地元でも恐れられている暴走族のリーダー(根元太)に向かって呼び捨てにしているのだ。
さすがの3年番長も、ひきつっていた。
あまりにも展開が面白いので、またつづく……
【実録番長への道Ⅴ完】