アンコール昭和外伝②
【実録番長への道Ⅱ】
いよいよ入学式。
体育館に先生の会式の声が響く。
先生『新入生入場!』
いよいよ秀二郎入場!
クラス別に次々と入る新入生達、ついに秀二郎が入る。
ザワザワ…ゴソゴソ……
明らかに秀二郎を見て全校生徒が注目し、何かを話している。
それもそのはず、その日の朝……
(回想)
起きて鏡で顔を見ると大変な事になっていた。
秀『ギョッ…えっ?…。何で……。』
そう、剃り込みは毎日毛が伸びる為、青くチカチカになっていたのだ。
これはマズい、そう思った秀二郎は急いでカミソリを持ち出し、ジョリジョリと剃り出した。
(心の声)
『やべ、また右が…、あっ、左が…痛っ、切った…』
ただでさえ鬼みたいになった額は、頭のてっぺん近くまで剃り上がっていたのだった……。
(回想あけ)
体育館へ戻る……
式も終わり、退場する新入生たち。
秀二郎は周りの目を気にして左右を確認してみた。
最悪の事態だった。
左右の上級生達が全員見ていたのだ。
しかも不良クラスの先輩達に至っては完全に睨んでいた。
いや、ガン飛ばしていた!
入学初日から生きた心地はしなかった。
よく思い出してほしい、中学で2級違えば力も身長も桁外れに違い過ぎる事を。
呼び出され、喧嘩になれば勝つ訳がない。
しかも番長をはじめ、周りの連中も数人は来るだろう。
しかしサイはふられた、もう後戻り出来ない。
そんな事を考えながら教室に入ると次なる試練が待っていた。
担任『俺が今日から貴様らの担任の鬼島だ!まず机の上の生活のしおりを開け!』
ドスの効いた声、鬼の様な顔、昔はこんな先生が本当に多かった。
番長からの呼び出しもまだなのに、まずは担任がこれだ。
心から秀二郎は思った。
『義務教育って…絶対やんなきゃいけないの?』
そのくらい焦っていた。
当然の事もわからないまま担任が、しおりの説明を始めた。
担任『まず1ページ目!校則っ!』
そういうと秀二郎の元へ歩いて来た。
担任『おい、お前なめてんのか?』
秀『……。』
担任『何とか言ってみろ!』
何としても番長になってやる!
そんな気持ちで入学したのにここでビビったら一生笑い者になるかも知れない。
そう思った秀二郎は、この後、想像もつかない行動に…。
その行動が、後に全校生徒に知れ渡り、水元秀二郎という名前を有名にしてしまう等、この時は本人ですら予知出来るはずがなかった……。
だって超ビビっているだけだったからだ。
つづく……
【実録番長への道Ⅱ完】