アンコール外伝シリーズⅢ
【実録ヒヨコ釣りⅢ】
もうすぐ学校も終わる。
外は雨、ヒヨコ達が雨にうたれてピヨピヨと鳴いているはずだ。
ミニ秀二郎は終わりのチャイムを聞くと同時に猛ダッシュで家まで走った。
傘をさすのも忘れて…。
びちょ濡れで家の玄関を開け、
『ただいま~っ!』
と叫びながら靴を脱ぎ捨てて無我夢中で庭のヒヨコが入っている段ボールへと走った。
『ギョっ』
目を疑った……、段ボールが雨にやられてぐちゃぐちゃになりヒヨコの姿がない……。
すると次に目に入った光景は、雨に濡れながら、大工も顔負けの素晴らしい小屋を作っている祖母の姿だった。
『ばぁちゃん、ありがとう…(涙)』
祖母が、
『これで雨が降っても大丈夫だろ(笑)』
と笑顔を雨水で濡らしながら微笑みヒヨコ達を小屋に入れてくれていた。
ミニ秀二郎感無量。
ヒヨコ達の所へ行った。
『ん?えっ?あれっ?あれれれ?』
ヒヨコ……ヒ…ヒヨコ達が………、え~っと……。
ピンクや黄色だったのに、雨にうたれて色が…グレー??ん?
しかも少し大きくなってる?
可愛くなくなってる?
ヒヨコって一体…?
不安を感じたミニ秀二郎だったが、祖母に嘆願して飼うと言ったヒヨコだけに責任を持って育てる義務がある、投げ出せない。
仕方ないが育てよう、子供ながらに責任感を持った。
この数日後、近所中を巻き込む程の大惨事が起こる事を知る由もなかったミニ秀二郎の初の責任感だった。
つづく。
【実録ヒヨコ釣りⅢ完】