東京 埼玉 臨床心理士のカフェカウンセリング・訪問心理療法 えむ心理研究室です。

ご覧いただきありがとうございます。


同じような家庭環境で育っても、
アダルトチルドレン(AC)的な状態になる人とならない人がいます。
なぜでしょうか。


今日はアダルトチルドレンについて
「個人の性質」や「家族以外の他者とのかかわり」といった側面から
考えてみたいと思います。


ご自分のことを「アダルトチルドレンだ」と思っている方には
少し厳しい内容もあるかもしれませんが
ニュートラルな気持ちで読んでいただき、
今後のために参考にしていただける部分があれば幸いです。



<目次>
・「アダルトチルドレン」と「機能不全家族」の現在
・アダルトチルドレンになる可能性は誰もが持っている
・アダルトチルドレンになりやすい人の特徴
・アダルトチルドレンの特徴に「当てはまる」ことのワナ
・「アダルトチルドレンになる」ということ ~「とらわれ」と「こだわり」~
・「アダルトチルドレン」にとらわれない・こだわらない生き方
・「アダルトチルドレンとしての生き方」を克服するために

 

 

こだわりやとらわれから自分を解き放ってあげましょう







「アダルトチルドレン」と「機能不全家族」の現在

アダルトチルドレンの定義は、
「機能不全家族の中で育ち、心に傷を持つ人」
だといえます。


「機能不全家族」については、
親から子への虐待があるとか
親が何らかの依存症であることによる親子の共依存状態があるなど
「家庭が子どもの成長に不適切な環境である」
というのが本来の意味です。


しかし、
現在では
アダルトチルドレンの定義が広くなっているようです。


特に虐待や共依存状態がなくても
成長に不適切な家庭環境で育ち
子どもがトラウマを抱えている場合は
総じてアダルトチルドレンと呼ぶ傾向があるように思います。


また、最近の特徴として
大人になってから自分の性格や考え方、人間関係のあり方などに疑問を感じ
ネットで調べてみたところ
「アダルトチルドレンに当てはまる」
と思って治療を始めようとする方が多くなってきています。





アダルトチルドレンになる可能性は誰もが持っている

先述のように、
虐待や共依存状態がなくても
子どもの成長に不適切な家庭環境であったことがある場合
その家庭を機能不全家族と呼ぶ、
と仮定しますと、

「家庭環境によって子どもがトラウマを抱えた場合、その人はアダルトチルドレンである」

と言うこともできてしまいます。


そうすると、

「アダルトチルドレンになる可能性は誰もが持っている」

ということになります。



どんな家庭も
一時的に機能不全気味になることは多々あります。


また、
性格や行動のユニークな人が親になると、
その性格や行動が
時に子どもにとっては辛らつに感じられることもあるでしょう。


叱られることが苦手な子どもは、
誰もが「正当」と感じられる理由で親に叱られても
「親が怒るのは間違っている」
と感じて
叱られた経験をトラウマとして処理することもあるでしょう。


ある人は、
自分の性格や考え方、人間関係のあり方について
「自分の個性だ」と考えるでしょう。
しかし別の人は
「育った環境のせい(おかげ)だ」
と考えるでしょう。


またある人は、
自分の家族について
「多少問題もあるけれども育ててくれてありがたい」
と思うでしょう。
しかし別の人は
「ある問題のせいで自分はこんなに苦しんできた」
と思うでしょう。



さらに、自分の家族について
ある人は
「しつけとしてぶたれたこともあるけど、機能不全家族とは呼べない」
と思うでしょう。
しかし別の人は
「叱られた経験がトラウマになっている。うちは機能不全家族だ」
と思うでしょう。



物事の捉え方の傾向によって
「機能不全家族が作られる」のです。

また同様にして、

物事の捉え方の傾向によって
明らかに機能不全家族で育ったにもかかわらず
自分のことを「アダルトチルドレンではない」と思う人もいれば
機能不全家族とは言い切れない家庭で育っても
自分のことを「アダルトチルドレンだ」と思う人もいます。





アダルトチルドレンになりやすい人の特徴

そのような観点から
「アダルトチルドレンになりやすい人」
について考えてみますと、


「アダルトチルドレンになりやすい人「
とは、
「自分の性格や考え方、人間関係のあり方の原因を、育った家庭に帰属しやすい人」
と言えるでしょう。


そのような物事の捉え方をしやすい人の特徴をあげてみましょう。
すなわち、
「アダルトチルドレンになりやすい人の特徴」です。



アダルトチルドレンになりやすい人の特徴

・家族に対する期待が多い
・人のせいにしやすい
・いろんなことをネガティブに考えやすい

・抑うつ感がある日が多い
・自分のしたことについてよく反省する
・物事の「理由」「原因」について考えないと気が済まない
・心理テストなど、自分を何かに当てはめることが好き
・思い込みが激しい
・依存心が強い
・人から褒められたい願望が強い
・人の言ったことを素直に受け取らないことが多い
・物事の裏を考えることが多い
・つらいときにがんばるよりも逃避したがる(でも結局がんばる)
・自分のことを自分で受け止めきれない



・・・いかがでしたでしょうか。



上記のリストを見て、
どの項目についても
「当てはまるとも思うけど、当てはまらないときもある」
と思った人は、自分自身に対してほど良い自己評価が出来ている人だと思います。
「現代的なアダルトチルドレン」ではないでしょうし、
自分のことを「アダルトチルドレンかもしれない」と思った経験もないでしょう。


もし、上記のリストを見て
5個以上「すごく当てはまる」と感じた項目がある人で、
かつ「自分はアダルトチルドレンかもしれない」と思ったことがある人は、
「現代的なアダルトチルドレン」かもしれません。
つまり、
アダルトチルドレンと思わなくてもいいのに、
「自分はアダルトチルドレンだ」と思いたがっているかもしれません。





アダルトチルドレンの特徴に「当てはまる」ことのワナ

「アダルトチルドレン診断」とか
「アダルトチルドレン・チェックリスト」といったコンテンツのあるウェブサイトが
ネット上に多くあります。


この記事を読んでくださっているあなたは、
すでにそれらの診断やチェックリストを試したことと思います。


アダルトチルドレン診断や
アダルトチルドレン・チェックリストの項目に
「当てはまっている」と感じましたか?


もし、診断やチェックリストの項目に対して
「ぴったり当てはまっている」とか
「すごくたくさん当てはまっている」と感じて
「自分はアダルトチルドレンなんだ」と強く思った方は、
もしかしたら「現代的なアダルトチルドレン」かもしれません。


つまり、あなたの「アダルトチルドレンだ」と思った気持ちは
思い込みである可能性がある、ということです。


思い込み、と言ってしまうのは荒っぽいかもしれません。


言い方をかえると、次のようになります。


あなたは「自分がアダルトチルドレンである」と思うことによって
今の状況から救われたい、と思っているかもしれない、ということです。



・・・このことが、この記事でいちばん言いたかったことです。


「アダルトチルドレン」という用語へのとらわれやこだわりに
ハマってしまうことによる「二次障害」的な状態を回避してほしいのです。


「現代的なアダルトチルドレン」の傾向がある方は、
一度、「アダルトチルドレンだ」と思ってしまうと、
アダルトチルドレン的な生き方を自ら選んでしまう可能性があるのです。






「アダルトチルドレンになる」ということ
  ~「とらわれ」と「こだわり」~



ウェブサイト上にある「アダルトチルドレン診断」や「アダルトチルドレン・チェックリスト」は
精神疾患の判別のために使うものではありません。

アダルトチルドレンは病気ではないからです。

「アダルトチルドレン」は「病名」ではなく、
「状態」や「傾向」をあらわします。


現代的なアダルトチルドレンの傾向がある人は、
自分を何かに当てはめることで安心します。


何かに属していること、
何かから認めてもらっていること、
・・・そのような状況で、「救われた」と感じたり、
安心感を得られたりすることが多いです。


その「何か」が、病気であっても、です。



「属すること」「認められること」で
安心するのは、誰もが持っている欲求であり感情です。


現代的なアダルトチルドレンの傾向がある人は、
属することや認められることに過剰な欲求を示すことが多いです。


たぶん、何かに「とらわれる」とか何かに「こだわる」ことで
安心しているのだと思います。


そして、
少しメタ的な言い方になりますが

属することや認められることそのものにも、
とらわれ、こだわっているのではないでしょうか。


例えば、
「親からの愛情がほしい」
だけにとどまらず
「親から愛情をもらえないから自分はダメなんだ」という思考回路があったり
「気がつくと『親から愛情をもらえない自分』について考える」という傾向があったりすると思います。


「とらわれ」や「こだわり」の心境に陥りやすい人は
アダルトチルドレンの診断やチェックリストに関しても同じです。

診断やチェックリストを試した後で、
「自分はアダルトチルドレンかもしれないんだなぁ」といったライトな感想を持つだけでなく
「自分が生きづらいのはアダルトチルドレンだからなんだ。なぜなんだ」
と考えて余計に息詰まってしまったり、
「アダルトチルドレン・チェックリストの項目にとても当てはまっている」
と感じることで
その項目を意識してしまい、
かえって
「親との関係が良くない」とか「親に縛られた生き方をしている」といった見方を
強化してしまったりするでしょう。


アダルトチルドレンや機能不全家族に関しても、同様です。
自分の性格や考え方、人間関係、そして親子関係や家族関係に、
とらわれ、こだわるからこそ
余計につらくなってしまうのです。


今、あなたはもしかしたら
「こんなにもこだわり、とらわれてしまうのはなぜなのだろうか」
と考え、悩んでしまっているのではありませんか。


その思考が、
現代的なアダルトチルドレンの傾向に結びついている可能性があります。

「原因」や「理由」にとらわれ、こだわってしまっているかもしれません。


もちろん、
そのような思考をすることをいけないと言っているのではありません。


そのような思考が「アダルトチルドレン的な生き方」を生み出している、
ということを理解していただいたうえで、

自分で努力したり
心理学的なケアやコーチングを受けたりすれば
そのような思考でつらくなる気持ちをもっと軽くしたり
そのような思考をしながらもっと気楽に自由に生きたりすることもできる、と信じてください。






「アダルトチルドレン」に
 とらわれない・こだわらない生き方


現代的なアダルトチルドレンの傾向がある人は
ある種の思考にとらわれたりこだわったりするために
むしろ「アダルトチルドレン的な生き方」にハマってしまう

・・・ということはご理解いただけたかと思います。


とらわれやこだわりに縛られない生き方が
できたらいいですよね。

そのためには、どうしたらよいでしょうか。


とらわれることやこだわることを自分で選択したり、
とらわれやこだわりに受動的になるのでなく能動的に対処したり
することは可能です。


自動的に、とらわれたりこだわったりしてしまう思考になってしまっているのを
改善すれば良いのです。


そのためには、まず「とらわれ」や「こだわり」の思考が発生したときに
自覚する必要があります。



とらわれやこだわりをその瞬間に自覚できるようになったら、
心は相当ラクになっていると思います。


とらわれやこだわりを魔法のように消すことはできませんが
「とらわれている自分」や「こだわっている自分」を自覚することで
気持ちをコントロールしていけます。






「アダルトチルドレンとしての生き方」を
 克服するために


この記事では
「現代的なアダルトチルドレン」という言葉を何度も使っていますが
もし「アダルトチルドレンとしての生き方をやめたい」と思われるなら
この記事のことも忘れてしまったほうが良いかもしれません。

「とらわれ」や「こだわり」が
あなたを苦しめているかもしれないからです。


一方で、
自分の性格や考え方、人間関係、そして親子関係を変えていきたいなら
専門家の力を借りることも効果的です。

「とらわれ」や「こだわり」が
自動思考になってしまっていると、
独力で自覚するのが難しいこともあります。


また、
「とらわれ」や「こだわり」だけでなく、
養育者から受けた影響のうちの何かが
本当にあなたの成長や自立を阻害している可能性もあります。

さらに、
親や養育者が良識的な見方や考え方をする人でなかったといった理由で適切かつ適度なコミュニケーションの仕方がわからないといった方もおられます
「複雑な人間関係の中でどのように振舞うのが良識的か」について「なかなか自分で判断できない」とか「身近に”これでいいの?”と確認できる人がいない」という方もいらっしゃいます。


いずれの悩みも、カウンセリングやコーチングで改善していけるケースが少なくありません。

 

ある程度時間はかかるかもしれませんが、焦らずじっくり、自分を客観的に見つめながら、こだわりやとらわれを解きほぐし、新しい道を歩んでいこうとする姿勢が大事です。


 

 

「アダルトチルドレン(AC)になりやすい人の特徴 ~現代的なACの「とらわれ」と「こだわり」~」についての記事は以上です。

これからも、親子関係や自己肯定感に関する悩みを抱える方に少しでも参考にしていただける記事を掲載してまいりたいと思っています。

 

 

とらわれすぎず、こだわりすぎず。でも、変わることを諦めず。

がんばりましょう。
応援しています!





 


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2019/6/8 更新