離婚を決めた男女が結婚指輪をハンマーでたたきつぶして「最後の共同作業」をする「離婚式」が話題を呼んでいる。厚生労働省の人口動態統計によると、1年間の離婚件数は25万1136件(08年)で、約2分に1組が別れる時代。奇妙にも見える式の背景には、別れを新たなスタートにつなげたいという切実な思いもあるようだ。【山田奈緒】

 東京都内を中心に離婚式を企画しているのは、千葉県浦安市の元派遣会社社員、寺井広樹さん(29)。昨年4月、大学時代の先輩が離婚する際に「始まりを披露する結婚式はあるのに、なぜ終わりは何もないのか」という疑問を感じ、初めて離婚式を企画した。これが評判を呼び、離婚式プランナーに転身。これまで約20件の離婚式をプロデュースした。

 今年3月から離婚式ツアーも始め、問い合わせは約500件に上る。ツアーは東京・浅草を舞台に、再出発の象徴として、人力車に2人別々に乗る演出などがある。式の司会進行も寺井さんが1人で行い、予約待ちの状態が続いている。

 式は、別れる理由の説明▽「旧郎旧婦」あいさつ▽友人代表あいさつ--と結婚式さながらに進む。最後は2人で結婚指輪をハンマーでたたきつぶす。服装は自由で、旧婦は和装で旧郎は普段着だったり、さまざまだ。

 あいさつに拍手していいのか招待客が戸惑うこともあるが、当事者の2人が互いに結婚生活への感謝の言葉を述べ、温かい雰囲気になることもある。式後に、離婚を思いとどまったケースもあった。

 「結婚式より感動した」「すっきりけじめがついた」と式の評判は上々。寺井さんは「ふっきれたような旧郎旧婦の笑顔を見るとうれしくなる。前向きな旅立ちを後押ししたい」と話している。

 山田昌弘・中央大学教授(家族社会学)は「3組に1組が離婚する時代。離婚のハードルは下がり、タブーではなくなった。離婚式というものが受け入れられているのも自然な流れではないだろうか」と話している。

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