るくすのブログ

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 あれは...2003年の夏の出来事...


 僕は、久しぶりの休日で早朝から自分の愛車(SUZUKI GSXR-1100L)でツーリングの計画を立てていた。


 その日は非常に天気が良く、夏らしい青い空と白い雲がツーリングを盛り上げてくれていた。

 地元の品川から出発し、横浜→横須賀→三浦→湘南→箱根→三島→沼津→東京というツーリングコースで

 愛車と共に出発した。

 

 品川から横浜までは、朝の時間だと30分くらいで着く

 横浜本牧のUSAカフェでモーニングコーヒーと、その店自慢のUSバーガーを食べ

 横須賀へ向かう...

 

 本牧から横須賀の観音崎までは、おおよそ1時間半といったところだろう

 国道15号の風景が都会から徐々に緑が多い田舎の景色へと変わって行く

 青々とした緑が、よりツーリングの楽しみを沸き立たせてくれた


 横須賀へ向かう途中...1台の単車乗りと同じ信号で停車した

 僕は、そのライダーの後ろに止まり、信号が青に変わるのを待っていた


 信号が青に変わり、そのライダーが走り出したので 自ずとアクセルを吹かしたが...

 どうにも前のライダーの走りが遅かったので追い抜きを掛け、抜かし去った

 しかし...前方の信号が赤に... そう!ここは国道15号...信号が多いので有名なんです

 タイミングが良ければ、すべての信号が青になるんですけどね


 早朝ということもあり、渋滞はまだ発生していなかったので良かったんですが...

 信号に捕まりながらも...無事に横須賀の観音崎へ到着!

 

 横須賀の観音崎は、地元の人達よりも遠方から来る、釣り人やライダーの方が多く

 最近ではホテルなども建設され観光地化され緑がまた...失われていく

 

 僕は海を眺めながら缶コーヒーでちょっといっぷく!

 砂浜へ下り、夏の海を体いっぱいに感じながら自然を満喫していた

 すると、さっき前を走っていたウスノロライダーが、僕の愛車の横にバイクを止め

 僕の方へ近寄って来たのだ

 

 僕は、素知らぬ感じで缶コーヒーを飲みながらタバコを吸っていた。

 少ししてから、さっきのライダーさんが僕の隣のベンチに座り、話掛けてきた...


 正直僕は驚いたが、そのライダーの外見を見ると...どう見ても60歳以上のオジさんライダーだった

 それも白髪の...


 せっかく話掛けてくれたのだからと思い...ライダー同士、色々とバイクの自慢話をしながら

 横浜や横須賀の美味しいお店などの情報を話したりして、あっという間に2~3時間が経っていた

 時間も時間だったので、そろそろ話を切り上げ、僕は三浦へ行こうと思ったのですが...

 オジさんがいきなり...『これから家に遊びに来ないかね?』と誘ってくれたんです


 流石に初対面のオジさんなので遠慮しようと思いましたが...

 なんか家には、オートバイが5台くらいあり? まだまだ色々と語りたがっていた様子だったので

 思いきって、そのオジさんの家へ遊びに行くことにしました


 まぁ~三浦や湘南はいつでも行けるし、これと言って用事もなかったので、友達感覚でオジさんの家へ行く事にしたんです


 僕はオジさんの後ろにつき、家までの道のりを一緒に走りながら、その道のりを頭の中へと記憶していました


 オジさんの家は観音崎からほど近い場所にあり、どうやら横須賀で書店などを開業している人らしい人物...

 観音崎で話していた時には『大したものは無いけど、まぁ~家においでよ!』と言ってくれていたが...

 いざ家に着くと...正直馬鹿デカい豪邸で正直ビックリしたのを覚えています


 門から豪邸までの距離が約50m位はあるような敷地
 
 庭に池があり、鯉の姿が何匹か見えた

 単車置き場は、ひと目で分かるような平屋建ての立派なガレージ


 僕は、とんでもない所へ来てしまったような気がしてきた...がしかし...刻すでに遅し...

 単車を下り、オジさんがバイクを止めた場所へと近寄って...またまた驚いた!


 定番のドイツ車ベンツ2台! 高級国産車1台、あとは4tトラックが1台置いてあった

 バイクもオジさんの趣味でハーレーが2台、ハーレーのレーシングタイプが1台

 ホンダのアメリカンが2台 綺麗に並んで置いてあった

 僕がこのオジさん...ただ者ではない!っと確信した瞬間だった


 観音崎で話をしていた時は、全然そんな風には見えなかった白髪のオジさん

 実際に家へ来てみると、全くの別人に見えてきたのだ

 たかがオジさんが... されどオジさんに変わった瞬間だった


 僕とオジさんは、そのあともガレージ内で時間を忘れて色々な話を熱く語っていた


 すると門の方から赤い車が1台、庭を抜けガレージへと入ってきたのだ...

 オジさんは『おっ!帰ってきたな!』っとひと言いって...

 僕に『今日は家でご飯でも食べて行きなさい!』


 正直僕は、ライダーの格好のままだったので、隣にある豪邸にこの汚い格好で入って行くのに

 かなりの抵抗があった...


 赤い車から下りてきた、ひとりの女性...

 女性と言っても見た目...40代くらいの俺から見たら年上の女の人

 その女性が『お父さん!そのお方はどなた?』と聞いてきたので

 僕も...『どうも初めまして! 〇〇と申します。』と応えた。

 するとオジさんは『私の趣味友達だよ!』と微笑ましい笑顔で答えていたのを覚えている。


 それから、また色々と話し込みながら食事をご馳走になりに豪邸へと...(ほんとに豪華な家!)


 食事の用意が出来るまで、お風呂をどうぞ!ということだったので

 遠慮しないで『はい』と応えた。(お風呂も... 豪華でスゴい!)


 ひと汗流し、何処へ行っていいのやら分からなかった僕は、とりあえず1階へと下りて行った

 部屋奥からオジさんの声が聞こえてきたので、声のする方へ歩いていき

 『お風呂有難う御座いました。』と...

 しかし...そこには家族がいた................ (正直キマズイ......笑)


 
 娘さんなのか?義理の娘さんなのか?まだ真相がつかめない40代くらいの女性が...

 『〇〇さん!こちらへどうぞ!』と手招きしてくれたので

 その女性の方へ歩き椅子に座らせてもらった


 すると...その女性が『まさかお父さんに、こんな若いお友達がいたなんてねぇ~』とひと言...

 (非常にキマズかった.......)


 食事をしながらも、話題というと僕のことやオジさんの話...

 もちろん僕の家族構成なども聞かれた... (一般的な家庭で正直キツい...苦笑)

 しかし、その家族は俺のことを非常に暖かくしてくれて本当に嬉しかった

 久しぶりに家族!というものの暖かさを感じた

 食卓には笑顔があり、僕のくだらない話にも耳を傾けてくれて、本当に暖かい家族だな~って感じていた


 そこで僕が気になっていた...40代の女性とオジさんの関係性とオジさんに年齢を聞いてみた


 すると、そのオジさん...大正生まれの83歳の高齢の人だったのだ! (きゃーーマジか?笑)

 とてもそんな風には見えないオジさん

 見た目どうみても60代前半で、とても83歳には見えない (これ絶対!!!)

 

 僕は...そんなお年寄りがリッターバイクに乗ってツーリングをしている事に本当に驚いのだ

 40代の女性は、実の娘であり、結婚もしていたらしいのだが、途中で疎遠し実家へ戻って来ていたらしい...

 (地雷を踏んだ....余計キマズい...爆笑)

 

 そんな他愛もない話をしているうちに、時刻はもう23時を廻っていたので

 そろそろ御いとましようと考えていた


 しかし、オジさんは『今日は遅いから、もう泊まって行けばいいじゃないか!』と言ってきたが

 さすがにそこまでは迷惑掛ける訳には行かないと思ったので、お互いの連絡先を教え合って

 僕は自宅へと帰ったのだ...

 


 それから数ヶ月後、オジさんから電話があり『また、遊びおいでよ!』というお誘いがあったので

 その週の土曜日に遊びに行った

 また楽しい想い出が増え、そのオジさんとは本当のお友達になった気がしていた


 それからも、何回かオジさんの豪邸へ遊びに行き、僕のバイクサークル風感(ゲェッフィリーヴィント)の

 サークル仲間も合流し、みんなでバイクライフを楽しみながら良い出会いと最高の想い出をいくつも作り上げていった

 


 そんな良い出会いも束の間...

 1年が過ぎたときのことだった......

 

 オジさんの娘さんから...僕に連絡があり

 昨日...お父さんが亡くなった!という一報が入ったのだ...

 

 僕は...一瞬混乱したけど、サークル仲間に即連絡を取り、御通夜と告別式に出席した

 告別式には、色々な方々が来ており、テレビでよく見る顔もあった

 

 突然の死に言葉もなく、あんなに元気だったのに...と何度も言葉にしていた気がする

 

 告別式も一段落終え...

 落ち着いて来たころに、オジさんの娘さんが僕のところに来て...


 『お父さんは、本当に〇〇さんとの関係が好きだったようで

 いつもいつも〇〇さんのことを話していたのよ...』 (涙ぐむ声...)


 『まさか...83歳になってから、お友達が出来るとは思ってもいなかったから

 本当に喜んでいました...』 


 『〇〇さん、本当に有難う御座いました。』

 


 その言葉に、僕は泣き崩れながら...

 一緒に撮った写真を見て、趣味のオートバイで一緒にツーリングに行ったり

 くだらない話に花を咲かせたり、一緒に温泉へ行き背中を流したり、美味しいご飯を一緒に食べたり...

 そんな想い出が頭の中に蘇えり...僕は堪え切れなくなって... (涙で言葉に出来なかった...)

 


 オジさんの告別式も無事に終わり

 サークル仲間で帰ろうとしたとき...あるバイクのキーを娘さんから頂いた...

 そのバイクのキーは...僕と初めて出会ったときのオートバイ...ハーレーダビッドソンのキーだった...

 俺は...受け取れないと拒んだが... 遺言に足されていたらしい...


 

 めちゃくちゃ悩んだ末...オジさんのハーレーを譲り受けた...

 そのハーレーは、未だに僕の実家のガレージで眠っています...

 

 

 僕の最高の親友!

    84歳のお爺ちゃんライダーへおくる

 

 

 るくすすんより