みなさんこんにちは。
日本全国シルバーウィーク真っ最中ですね。私は近場に買い物に行ったりしつつ、スライド作ったり、掃除したりして過ごしています。

携帯サイト「女医宋美玄の相談室」に友人で恋愛小説家のアルテイシアの恋と性の相談室コーナーができました。性と恋は切っても切れないので、その道のプロが来てくれるとは百人力!早速目からウロコの回答が。他に妊娠関係も盛り上がってます。 ドコモ・Au・SB→クリック


さて、妊娠生活なるものを送っていますが、今まで何千人も妊婦さんを診てきたので、そうそう「想定外」のことは起こっていません。(逆に想定の範囲がめちゃ広い)

が、強いて言うなら、

体重って意外と増えないね

ってことです。

つわりが終わったら食欲がムクムクと沸いてきて、気を付けないと増えすぎるもんだと思っていましたが、そんなにたくさん食べられないし、代謝が良いのか、自分のかかりつけの妊婦さんなら「もっと食べてね」って言うくらいしか増えてないです。今のところ。

日本では、他の先進国と違って「伝統的」に妊婦さんは「とにかく体重増加に気をつけろ」と指導されることが多いようです。

まあ体重が増えすぎる妊婦さんもそれなりにいるので、体重に関する指導は必要なのは分かるのですが、厚生労働省が妊娠中の推奨体重増過量を出しているのに、産院が個別に「うちは○○キロまでです」と決めていることがあるのが前から不思議だったのと、

体重が増えすぎた妊婦さんが妊婦健診に行くのが憂鬱でたまらなくなる

というのは一体どうなの?って思っています。

私の印象では、比較的若い産科医は妊婦の体重増加に寛容で、年配の産科医と助産師は厳しい傾向にあるように思います。そして、とにかく妊娠中の自己管理の大きな柱は体重管理だと思っている印象。

体重管理、自己管理。いずれもよく聞く単語です。

もちろん、妊娠中に不摂生はいけません。ファーストフードを食べまくったり、睡眠をちゃんと取らなかったり、タバコを吸ったり。適度な運動と、栄養摂取と、ストレスをなるべく排除した生活。それが良いことに議論の余地はないと思います。

しかし、よく誤解されますが、「自己管理をしていれば自然出産もしくは母児共に安全な出産が出来る」というものでは全くありません。

逆に言うと、「帝王切開になった、もしくは母児の健康にかかわる何かがあったというのは自己管理ができていなかったから」ということも成り立ちません。

流産、早産、胎児の異常、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、微弱陣痛、回旋異常、胎児心拍異常、などなど、妊娠中に起こるトラブルはこれという「原因」が分からないけど突然起こることも多く、「自己管理」が出来ていれば起こらない、というものでは決してありません。

田舎に行って薪割りをしようと、オーガニックの野菜で毎日自炊をしようと、トラブルが起こるときは起きるし、妊娠が終わるまで(もしくは終わってからしばらくするまで)、安全な保障は誰にもない。

そこを誤解している人を時々見かけます。

産科医をしていると、別に落ち度のある妊娠生活をしていたわけではないのに安産じゃなかった人はたくさん診ますし、その人たちが「自己管理が出来てなかったからだ」などと自分を責めたり他人から責められたりするのはいわれのないことだと思います。(もちろん、極端な例は別ですが)

また逆に、約9割の人は医療の手がそれほど加わることなく無事に出産に至るので、「自己管理が出来ていたから安産できた」と悦に入るのも「いやいや運が悪くなかっただけでは」と思ってしまいます。

つまり。

運動や勉強と違って、妊娠出産は「努力した分、見返りがある」「努力次第でどうにでもなる」というものでは決してありません。(おそらく、その後の子育てはもっとそうでしょう)何でも自分でコントロール出来るというのは錯覚でしかありません。

不摂生や極端な体重増加はいけませんが、「自己管理」という名の「自己満足」に陥るのもいろいろと弊害があるなあと思います。

私は妊娠7か月に入り、今のところ幸い順調です。今日は体重が増えるよう、おいしいピザ屋に連れて行ってもらってきます。



友人が翻訳した本なのですが、内容がすごい。サダムフセインに翻弄されながら生き抜いたこの人の人生もすごいし、なじみのないイラクの事情がよくわかる。湾岸戦争の引き金になったフセインのクウェート侵攻は、実はアメリカが裏で手を引いていたとか。

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