9月3日の日本経済新聞に、
IFRS関係の記事がたくさん載っていました。
朝刊だけで関連記事が3つ。
その主な内容ですが、
実務面での動きとして、
大手企業各社が共同で、準備組織を立ち上げ、
早期適用の可能性や開示方法を検討し始めた
という記事。
2011年3月期(2010年4月~)に、
住友商事、日産自動車が
2012年3月期(2011年4月~)に、
JTが、導入を検討している模様です。
会計基準面での動きとしては、
2011年6月にコンバージェンスを完了する予定
であった項目について、その時期を、
2010年度中に完了させるように早めた。
という内容でした。
個々の基準の具体的内容は、
後日お話するとして、
最初にIFRS対応プロジェクトの全体を・・・。
経緯と全体像の説明のみで、
基準の内容には触れていませんが、
いきなり基準の内容に入ると、
相対的な位置づけがわからず、
理解も浅くなってしまうので、
最初にざっと見ておくことをおすすめしたいです。。。
経 緯
2005年、日本の企業がEU市場で上場するためには、
"IFRS又はIFRSと同等の会計基準"
を適用しなければならなくなり、
EU(欧州証券規制当局委員会)による
IFRSと他国の会計基準の同等性の評価が行われました。
この結果、
日本の会計基準は「IFRSと同等である」
(つまり、日本の会計基準がEU市場で通用する。)
と評価されましたが、
同時に26項目の重要な差異があることを
指摘されてしまい、
日本基準で財務諸表を作成した場合には
追加で情報を開示するなどの補正措置をとること
が必要になったのです。
この時、アメリカも差異を指摘されましたが、
その後、両国の会計基準の設定主体、
国際会計基準審議会(IASB)と
米国財務会計基準審議会(FASB)
が覚書(MOU)を結び、特定の項目については
共同で会計基準を開発することになりました。
そして、これを受けて、
日本(財務会計基準機構/ASBJ)でも、
IASBとの調整がすすめられ、
EUから指摘された26項目については、
2008年まで、
・・・計画の内容でいうと"1"
残りの差異については、
2011年6月30日までに
コンバージェンスを完了するという計画をたて、
作業を進めています。
計画は、4つに分類されます(2009年9月4日現在)
【計画の内容】
短期項目 (EUによる同等性評価に関連する項目)
既存の差異に係る項目
IASB/FASBのMOU項目に関連する項目
IASBとFASBによるMOU以外の
IASBでの検討に関連する項目(後で追加)
短期項目の終了
2008年12月に、
ASBJは短期コンバージェンス項目が終了した
ことを公表しました。計画どおりです。
EUから指摘された26項目すべてについて、
日本の会計基準等を改正又は新設したのです。
現在は中期対応項目について、
基準の設定に向けて対応を
進めている最中ですが、
その中の項目について、対応期限を、
2011年6月⇒2010年度中に完了させるように
早めたというのが、今回の新聞記事の内容です。
改正の具体的な内容は、また次回に
お話させていただきたいと思います。
※理解することに重点を置いていますので、
正確さを求められる方は、asbjのホームページ等、
専門資料をご参照ください。
【KEY WORD】
会計基準の同等性、26項目の差異、
IASB/FASBのMOU、ASBJ