保守層に配慮示す


稲田氏靖国神社参拝


与野党から批判




稲田朋美防衛相が29日に靖国神社を参拝したのは、安倍政権の支持基盤である保守層への配慮を示すためだ。ただ、稲田氏が米ハワイ・真珠湾に同行し、安倍晋三首相が日米の「和解の力」を強調した直後だけに、戦争責任を問われたA級戦犯を祭る靖国への参拝に理解を得るのは容易ではない。中韓両国との関係改善にも冷や水を浴びせかねず、与野党から批判の声が上がった。



稲田氏は参拝後、特攻隊員だった叔父が訓練中に死亡して靖国に合祀されたことに触れ、記者団に「将来ある青年たちや、家族や国を守るために出撃した人々の命の積み重ねの上に今の日本があることを忘れてはならない」と語った。



稲田氏は衆院議員に初当選した翌年の2006年、A級戦犯を裁いた東京裁判の不当性を主張する「伝統と創造の会」を自民党の有志議員と結成し、会長に就任。サンフランシスコ講和条約(1952年)が発効して日本が主権を回復した4月28日と、終戦記念日の8月15日に靖国を参拝してきた。



13年12月に安倍内閣で初入閣して以降も8月15日の参拝を続けていたが、防衛相就任直後の今年は見送った。首相に同行して真珠湾で米国の戦没者を慰霊した以上、靖国を参拝することで国内の保守層にも配慮していることをアピールする狙いとみられる。



ただ、日本の戦争責任に否定的な靖国への参拝が、外交上の波紋を広げるのは間違いない。日本政府は日中国交正常化45周年に当たる来年の首相訪中を模索。日韓間では北朝鮮の脅威に対応するため、懸案だった軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を先月締結するなど、安全保障分野の連携が進んでいた。政府関係者は稲田氏の参拝で「悪影響が出る可能性は否定できない」と語る。



自民党幹部は29日、取材に対し「首相が稲田氏の主義主張を知った上で起用したので仕方ないが、防衛相には不適格だ」と批判。公明党幹部も「米国だけでなく中韓との和解はどうあるべきか、政治家としての姿勢が問われる」と語った。民進党の野田佳彦幹事長は東京都内で記者団に「真珠湾に同行した直後に参拝というのはどういう意味なのか、内外に説明する責任がある」と述べた。【高橋克哉、小田中大】



「断固反対」「憤慨」中韓反発



【北京・石原聖】稲田朋美防衛相が靖国神社を参拝したことについて、中国外務省の華春螢・副報道局長は29日の定例記者会見で「断固反対」を表明したうえで、日本側に「厳正な申し入れをする」と明らかにした。



華副報道局長は「(稲田氏は)真珠湾で和解と寛容を述べた安倍晋三首相に同行した翌日に侵略の歴史を美化する靖国神社を参拝した。日本の一部の人物の頑固な誤った歴史観を反映し、真珠湾(訪問の)『和解の旗』を大いなる皮肉にした」と批判した。



【ソウル大貫智子】韓国外務省のチョン・ファンウォン東北アジア局長は29日、丸山浩平・駐韓公使を呼び、抗議した。韓国国内で反対の根強い日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の担当閣僚が参拝したことに韓国政府は「衝撃(聨合ニュース)を受けている。



韓国外務省報道官は29日、「日本の責任ある政治家が、過去の植民地侵奪と侵略戦争を美化し、戦争犯罪者を合祀した靖国神社を参拝したことに憤慨を禁じえない」と批判。韓国国防省も「防衛相が靖国神社を参拝したことに深刻な憂慮と遺憾を表明する」と非難した。



韓国国内の弾劾訴追可決で職務停止となったパク・クネ政権が締結したGSOMIAや、28日に1年を迎えた慰安婦問題に関する日韓両政府合意への反発は根強く、野党側はさらに対日批判を強めそうだ。



米も強い不快感か


真珠湾訪問直後



【ワシントン共同】オバマ米政権は公式な反応を示していないが、日米首脳が連れ立って真珠湾の犠牲者を慰霊する歴史的なハワイ・真珠湾訪問の直後のことだけに、強い不快感を抱いているとみられる。



オバマ米大統領は真珠湾での演説で「和解」が恩恵をもたらすとのメッセージを「世界中に送りたい」と強調。歴史問題で対立が続く日中、日韓関係の改善を促す意味が込められていたとも読み取れるだけに、稲田氏の参拝は米国側には、両首脳の真珠湾訪問に冷や水を浴びせる行為と映りかねない。米メディアも批判的に報じた。ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は、参拝が、防衛相が首相と共に真珠湾を訪れ、帰国した直後だったことに力点を置いた。



AP通信は、日本政府高官による靖国訪問は「侵略の歴史をごまかす試み」として中国や韓国などの怒りを買ってきたと説明した。


12月30日付「毎日・大阪版」より



以上記事本文



もはや「何をか言わんや」です。この防衛相は靖国神社参拝に関しては「確信犯」的信念の持ち主であることが明確になりました。首相の安倍氏が参拝を控えているのに、閣僚の防衛相が参拝するとは、余りにもお粗末としか言えません。



この人物は海外に関連した閣僚ポスト、具体的には外相と防衛相に付けてはなりません。国を誤ります。



中国と韓国の反発は目に見えているのに、こうしたことを繰り返すのはなぜなんでしょうか?私には理解できません。



安倍首相は中国と韓国、さらにはアメリカにも批判されかねない靖国神社参拝を強行した稲田防衛相を、直ちに更迭すべきです。