この文は、最近どんどん大活躍している、わが紅梅組の愛弟子たちに捧げます。みんなが頑張っている姿、紅梅先生は感極まってウルウルしながら、溝の口で応援しております。

 また、漢方勉強中の方々のためにも少し役に立てたらと思います。

 わたしが西洋医から漢方の世界へ転身したのは、西洋医学の「化学薬」に抵抗感があったからです。

 1835年から今に至るまでに開発された西洋の「化学薬」は7,000種類と言われますが、今現在使っているのは多くても1,000種類です。では、その6,000種類がどこにいったかといえば、強い副作用や「毒性」、耐薬性などで淘汰されて消えたのです。

 マウスに実験して効いたクスリを人間に投与してるので、当然「効かない」、「効かないどころか強い副作用」になるクスリも現れるはずです。

 

 また、なぜ「患者さんがずっとクスリを延々に、死ぬまでに飲まなければいけないか?」、つまり「効かないから飲むのでは・・」と思っていました。ならば、体質改善の漢方薬から「根治薬」を探ろう~と、漢方医学の世界に飛び込みました。

 そして、わたしにとって、最初の難関は「西洋医学的脳から中医学脳へのchange」でした。

 「西洋医学的脳」とは何か?といえば、患者さんに漢方薬を出すときは、まずは薬の成分を重視していました。

 例えば、咳に効く「麻黄マオウ」は咳き止め成分のエフェドリンが入っているから効くんだ~、免疫力アップの霊芝にはβ-Dグルカン成分により免疫力アップに役立つ・・・などでした。

 しかし、ある日「は~っと」気付かれることがありました。人参(ウコギ科オタネニンジン Panax ginseng)の葉っぱに入っているサポニンは人参の根より多いですが、実際臨床では人参の葉っぱよりも人参の根を使っています。漢方の救急薬ととして有名な『独参湯』は「人参単味(根の部分)を大量に濃煎して」ショック状態の患者さんに用います。

 

 つまり、漢方医学では成分の含有量だけで効能云々することはできないということです。

 漢方薬には人体に作用させた反応や、疾病に対する治療効果を示す薬性理論があります。その一つに「四気五味」;つまり、薬に酸・鹹(塩辛い)・甘・苦・辛の五味がり、また寒・熱・温・涼の四気があります。『寒は熱薬をもって療し、熱は寒薬をもって療す」の原則もあり、皮膚の赤みやかゆみには黄連などの寒性薬を用い、寒がるときには乾姜などの熱性薬を使用します。

 また、味によって効能も異なり、「生姜は辛味(ピリッと辛い)だから発汗作用が、ハトムギは淡味だから利水に働く」といわれます。

 ほかに、薬物が作用する方向によって「昇降浮沈」理論があり、例えば子宮下垂、脱肛などには「昇浮」作用のある黄耆・柴胡・升麻などを、便秘のときには「沈降」作用のある大黄・芒硝などを使います。

 薬性理論のほかに、漢方薬はその出処も大事です。例えば、張仲景が築いた『傷寒論』は日本でその113処方のなかで8割を使っていますが、時代背景が「寒くて栄養失調」時期の漢方薬です。

 もう一つ、牛黄清心丸、逍遥散などはわたしも好んでよく出す漢方薬ですが、これは『太平恵民和剤局方』(下の写真参照)の方剤です。この有名な漢方の書物は、中国が世界中で裕福だった宋の時代に、「世の中が太平(安泰)で民に恵みを与えるため」漢方薬をまとめた、当時の世相を反映しています。

 さらに、漢方薬には「君臣佐使」の理論もあり、その生薬の組み合わせにより、微妙なちがいをもたらします。例えば、同じ体を元気にする漢方薬でも、補中益気湯は脾胃気虚による「発熱・だるい・疲れてしゃべりたくない」や気虚下陥による「脱肛・内臓下垂」に使い、帰脾湯は心脾両虚・脾不統血による「動悸・食欲不振・だるい・下血・集中力低下や物忘れ」によく使います。

 一つの漢方薬を取る時に、成分よりも「その薬の出処・それぞれの薬の性質(四気五味・昇降浮沈)、君臣佐使」が理解できると、漢方の世界はより美しく、よりおもしろくなり、きっとやみ付きになるはずですニコニコ

 

 

 

 

 

 

 

   

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